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65% 謎めきの主 ピエロ編 / Chapter 104: 第104章 ミスターZ

Chapter 104: 第104章 ミスターZ

1つ目のポケット、2つ目のポケット、3つ目のポケット……クラインはすぐさま、血まみれの革財布、デビル図書館の利用証、1つにまとめられた真鍮色の鍵2本、空っぽのパイプ、鞘付きの短剣、それにきっちり折られた何枚かの便箋を見つけた。

 便箋以外のものをすべてまとめて地面に置くと、クラインは立ち上がった。ついでに財布にちらりと目をやったが、中には十数スラーと少量の銅ペンスしか入っていなかった。

 「この革財布なんか、手が込んでるのにもったいない……」クラインは声を出さずにため息をつきながら、あれこれ思い巡らせていた。

 もし今日へそくりを使いすぎていなかったら、「財布を買う」という項目が俺の「やりたいことリスト」に登録されていただろうに。

 クラインは首を横に振ると、便箋を広げ、ざっと流し読みしていった。

 「尊敬するミスターZ」

 「どうか私の自己弁護をお許しください。私とハナスがアンティゴノス家のノートを転売したのは、愚かだったからでも、裏切りでもありません。我々の手元に来たとき、ノートには何ら特別な点がありませんでした。」

 「私はあのノートが生きているのではないか、一定の生命と知恵を備えた邪悪物なのではないかと感じ、封印されるべき危険なものだと考えました。」

 「あのノートは、その時々で、また、誰が見るかに応じて、書かれている内容が変わるのです!」

 「この点については、警察内部にいる子羊から裏付けを得ています。」

 「ノートが見せる内容は毎回真実で、数多くの証拠もあるのですが、アンティゴノス家の末裔が手にしたときだけ、完全な姿を現すように思います。」

 「私とハナスがあのノートを手に入れたときは、アンティゴノス家の些事、ホルナシス主峰にある夜の国の概況、それに以前あなた様にお渡しした序列ポーションの処方箋3つ分について書かれていただけでした。」

 「ご存知のように、密修会は『占い師』の経路を掌握しており、極めて強力な追跡能力を有しています。それゆえ、私もハナスもあのノートをずっと持っているのは極めて危険な行為だと考えました。しかも、あの時あのノートが見せてくれたものは、我々が引き続きこのリスクを負うほどの価値がないと感じるような内容でした。」


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