蓮の花洞には実際の蓮の花は無く、ドームの頂上に大きな蓮の石像が彫られているだけだ。その蓮の石像の周りには、多くの婀娜な飛天仙女の彫刻が囲んでいる。
学校の資料によれば、その大きな蓮の石像は異次元のひび割れそのもので、時々異次元生物がそこから出てくる。それはまるで蓮から飛び出してくるかのように見える。
これまでに蓮の花洞で見つかった次元生物は、「飛天獸」という名の生物だけである。しかし、壁画の飛天仙女とは違い、飛天獸と呼ばれる次元生物は美しい外見を持たず、まるで翼を持った猿のように見える。そのため、飛天獸は飛天猿という呼び名も持っている。
周文が必要とする龍門飛天術は、飛天猿の元気技の結晶から由来するものだ。ただし、飛天猿の数は少なく、元気技の結晶を出現させる確率は更に低い。
異次元の嵐が降り注ぐ前、蓮の花洞は独立した石窟だった。しかし現在では、多くの石窟が連結し、各石窟の内部には蓮の花のドームと飛天仙女、そして壁面には多くの仏、菩薩、力士、僧侶の彫像がある。
蓮の花洞は一時閉鎖されていたので、中にはたくさんの飛天獸が蓄えられているはずだ。しかし、それは特招生が使い切るにはちょうど良い程度で、特招生はそれぞれ二度しかチャンスがない。もし二匹の飛天猿を斬ってもなお理想的な成果を得られなければ、それ以上斬ることはできない。
周文は王鹿と共に一つ一つの蓮の花洞を通り抜け、やっと石窟の中で飛天猿を見つけた。
その飛天猿は周文の想像とは少し違っていた。周文の記憶の中の猿はすべて茶色の毛皮を持っていたが、この飛天猿は全身白毛で、目は血のように赤く、背中には一対の白い翼がある。
飛天猿は周文と王鹿を発見し、すぐに歯を剥き出して突進してきた。
「これ、使い方分かるだろう?ちゃんと私を撮影して、私のスピードについてこられるように、美しく撮ってくれよ」王鹿は専用カメラを周文に渡した。
「私を使うって言ったのは、ただ撮影を手伝うためだけじゃないんだよね?」と周文はカメラを持ちながら言った。
「そうだよ、それならどうする?」と王鹿は飛天猿に突撃しつつ答えた。
「金持ちは気ままだな。150,000円も出して撮影を頼むなんて?」周文は金持ちの考え方が理解できなかった。