「この女性の長官が皆さんにいくつかの質問をしたいです。正直に答えて頂ければ構いません」と副校長は周文達6人に語りかけた。
リースは周文に対して特別な意識を向けることなく、6人の学生に一人ずつ質問をした。周文に対しても同じように扱い、まるで周文を知らないかのようだった。
リースの質問が終わった後、「長官、それでよろしいですか?」と隣にいる副校長が口を開いた。
「他の生徒たちは先に帰っていただいて構いません。この周文さんには、私の方へ戻って調査に協力して頂きたいと思っています」と、リースは他の生徒たちを事務室から出して、周文を見つめながら何気なく話した。
副校長の顔が微妙にしかめられたが、すぐに笑顔を取り戻した。「長官が私たちの学生に調査に協力してほしいと仰るのであれば、もちろんです。ただ、ご存知の通り我々夕陽学院は半軍事学校で、皆さんは予備役の兵士とも言えます。彼らを引き渡すためには、一定の手続きを経なければならない。それが終われば、お連れできます。お急ぎの場合は、すぐにそれを手配します」
「必要ありません。これが逮捕令です。ちょっとご覧になってください。私たちは彼を今すぐ連れて行きます。ただ彼に調査に協力してもらうためだけですから、すぐに無事に戻してあげます。あまり心配なさらないでください」と、リースが冷笑しながら直接逮捕令を取り出し、副校長の目の前のテーブルに置いた。
彼女が副校長、その年寄りの狐の意図を知らないはずがない。口では良いことを言っているが、恐らくこの場を離れるとすぐに安家にこの件を通知するだろう。夕陽学院は元々安家が創り上げたものだから、ここで問題が起きれば、たとえ周文が好きでなくても、手をこまねいて見ているだけでは済まないだろう。
副校長が逮捕令をよく見て、顔色が微妙に変わった。「この生徒が何か違法な行為をしたのですか?こんなレベルの逮捕令を使う必要があるのですか?」と、リースに問いただした。
副校長はすでにリースが周文を狙っていることに気づいていた。前の話はただ周文をここへ連れてくるためのものだったのだ。
「それについては何も言えません」とリースは述べ、自分の側の監察員に周文を抑えるように合図した。