銀翼飛蟻の細い腰は折れておらず、傷の痕跡すら見られない。しかし、数メートル飛んだ後に突如腰が折れたかのようになり、体の後半部分が無力に下がってしまった。フラフラと数回飛びながら、バランスを失い、地面に落ちた。
その様子を見て周文は大喜びし、急いで血色の小人を操り、再び灰燼掌で銀翼飛蟻の額を打ち付けた。
その一撃の後、周文の元気は完全に尽きてしまい、再びパワーテクニックを使用することはできなかった。しかし、その一撃は乾骨保護腕の加護により、灰燼掌の陰性爆発力が直接銀翼飛蟻の頭の中を乱すことに成功し、結果としてまるで錯乱したようにその場で翼を乱打して回転した。
まだ死んでいないと見て、周文は何回か拳を加えた。ただし、元気がないのでパワーテクニックを使うことができず、自分自身の力と乾骨保護腕の加護だけで銀翼飛蟻を転がすのは、重傷を負わせるには及ばなかった。
しかし、全力を出し切った2回の灰燼掌は致命的で、銀翼飛蟻がぶつかりながら動き回った後、だんだんと動きが止まってしまった。
「ディン、伝説の生物である銀翼飛蟻を殺した、銀翼飛蟻の卵を発見した。」
周文は少し驚き、伴侶の卵が出るとは思わなかった。伝説級の卵が出る確率は高いとはいえ、それでも微確率だ。
初めて銀翼飛蟻を倒して、すぐに伴侶の卵が出るなんて、これも運の良さだ。
ただ、これで周文は一か八かの賭けをしなければならなくなった。伝説級の伴侶の卵を孵化させるには必要なパワーが多すぎて、成功させることができるかどうかは不明だ。
周文の唯一の強みは、ゲームキャラクターを使って孵化させること。失敗したとしても、それはゲームキャラクターが死ぬだけで、本人には影響が無い。ただ、その場合、伴侶の卵が存在し続けるかどうかも分からない。
「このくそったれなゲーム、せめてバッグみたいなものがあれば良いのに。伴侶の卵と次元の結晶を拾った後で、保管しておけるような……直ぐに使わなければならないなんて。」周文の愚痴は何の意味もなく、やはり血色の小人を操作して伴侶の卵を拾うしかない。そうでなければ、ゲームキャラクターが死ぬと、サブコピーが再生成されて、この伴侶の卵もなくなってしまう。