萌芽の追撃車両隊は慌てて方向転換して逃げ出した。
カイルトは目を光らせ、命令を下した。「火力掩護、全員を吹き飛ばせ!」
副官はカイルトの意図を理解し、心の中で震え上がりながら、素早く命令を伝達し、攻撃範囲を設定した。
蜂窝型ミサイル発射器を装備した車両隊がゆっくりと前進し、ドッドドと天地を覆い尽くすような短距離ロケット砲を発射した。
ダイヘイは爆撃区域の端に丁度入ってしまった!
第13コントローラの面々は鋭い観察眼でこの状況に気付き、怒りと驚きが入り混じった。
副官は慌てて説明した。「範囲計算のミスです。まずい事になりました。」
そんな言い訳は子供だましにもならない。目的は明らかだった。キバイジャは激怒して叫んだ。「カイルト、何をするつもりだ?!」
カイルトは答えず、無表情のまま、目に冷たい光を宿した。
海夏人でないのが悪いのだ。
ロケット砲の尾炎がリー・ヤリンの網膜に鮮やかで凄まじい光を残し、彼女は恐れおののいて言った。「私たちごと空に吹き飛ばす気?!」
「海夏人は故意にやってる!」張偉は怒り心頭だった。
共同作戦に参加すれば他国からの敵意は避けられないと分かっていたが、この指揮官がまさか本当に行動に移すとは。これで死んだら間違いなく無駄死に、「誤殺」の一言で責任逃れできるのだから!
こんな卑劣な手を使うのは過激派だけだ。友軍を陥れ、結果を顧みない!
萌芽は六カ国共通の敵で、皆がテロ対策に賛成しているが、互いは同盟国ではなく、摩擦は絶えない。リーダー層は表面的な付き合いで内心は刃を隠し、下の者たちは明闘暗闘の駒となっている。(見覚えあるでしょう)
韓瀟は目を凝らし、叫んだ。「窒素ガス加速!」
リー・ヤリンはすぐにボタンを押し、大型トラックの排気管から青い炎が噴き出し、速度が瞬時に跳ね上がった。暴れ狂う犀のように、突然の加速力で彼女は座席に押し付けられ、身動きが取れなくなった。
ロケット砲の列が急速に落下してきた。三百メートル、二百メートル、百メートル、五十メートル!
「ブーム——」