Chapter 12: 015 盗み
「誰にもわからないね。多くの人にとって、内部の消耗は蛙を茹でるようなものかもしれない。長い痛みより短い痛みの方がましだろう」と韓瀟は肩をすくめた。
アンディアの戦い、長期戦争の最終決戦、六カ国の構図を確立した重要な戦役だった。
アンディアは大陸プレートの名前で、かつてそこにはいくつかの国が存在していた。戦争が勃発すると、他の大陸の国々は暗黙の了解があるかのように、アンディア大陸を主戦場とし、戦争の範囲を制限して、戦争が惑星全体の生態系を破壊することを防ごうとした。無数のミサイル、戦車、飛行機による爆撃で、数億人がアンディア大陸で命を落とした。
戦争終結後、アンディア大陸は草木が枯れ、焦土が広がり、生命が絶えた。河川や湖からは死体の腐臭が漂い、肥沃な山々は暗黄色の影に覆われ、死の地と化した。六カ国は尻尾を巻いて撤退し、混乱を残したまま、アンディア大陸を完全に見捨てた。まるで情けを知らない渣男のように。今では、アンディア大陸の生存者は少なく、全員が六カ国を極度に憎んでいる。
韓瀟は胡弘駿の手のひらの豆を見て、「以前、軍人だったのですか？」と尋ねた。
「ああ、以前は十数年間、軍隊にいた」
「亡国の軍人は皆、萌芽組織に入ると思っていました」
胡弘駿は首を振って言った。「私の祖国は星龍との軍事交渉で併合されました。指導者たちが妥協した以上、私のような兵士が恨みを持つ必要はありません。六カ国は好きではありませんが、得難い平和は大切にしています。戦争が長年続いて、やっと終わりそうになった時、萌芽が突然現れ、六カ国打倒を掲げて、多くの恨みを持つ亡国の軍人たちを引き寄せ、再び戦争を起こそうとしています。はあ、私は単純な人間で、六カ国と萌芽の理念なんて理解できません。もう戦争に巻き込まれたくないんです」
アンが割り込んで言った。「そうよ、戦争は本当に残酷だった。私の目も、突然爆発した閃光弾の不発弾でやられたの。老胡が私を連れて東奔西走して、やっと落ち着いた生活ができるようになった。ノマドの生活は苦しいけど、以前よりずっといいわ」
話している間に、鍋から肉の香りが漂い始めた。韓瀟は貪欲に匂いを嗅ぎ、好奇心を持って尋ねた。「目が見えないのに、どうやって料理するの？」
アンは不満そうに言った。「人を見くびらないでよ。目は見えなくても、嗅覚も聴覚も触覚もあるし、手足も器用なの。障害者じゃないわ」
胡弘駿は苦笑いして言った。「彼女は強情で、どうしても私に世話をさせようとしないんだ」
「あなたの足手まといになりたくないだけよ」アンは優しい口調で言った。
胡弘駿は他人の前で妻と冗談を言うのが照れくさいようで、急いで話題を変えた。「そうだ、私の宝物を見せてあげよう」
韓瀟は表情を変え、不健全なものを想像して、そっと後ろに下がった。
幸い、胡弘駿は大きな宝物を取り出さず、隣の箱を開けて、布で包まれた古いライフルを取り出し、誇らしげに言った。「これが分かるかい？」
[軍用の銃（古い）]
[品質：灰（白）]
[基本属性：攻撃力38~40、射速0.9発/秒、弾薬クリップ容量20発、有効射程200メートル、能力レベル25、耐久度5/300]
[属性加算：敏捷性+1]
[長さ：0.77メートル]
[重量：7.1ポンド]
[追加効果：精密——弾道が安定し、風の影響を受けにくい]
[備考：この武器は所有者と共に多くの戦役に参加してきた]
「いい銃だ！」韓匠は専門家としての素養を爆発させ、感嘆して言った。「長年使われているのに、まだこんなに手触りが滑らか。銃身は長くて真っ直ぐで、弾丸が十分な加速距離を得られる。射撃の威力は間違いなく強力だ。表面は黒光りして艶があり、殺気が漂い、威風堂々としている。うん、本当に凶器だ」
おや、なぜか急に雰囲気が妙になった。気のせいだろうか？
「これは私の古い相棒だ。もう10年近く一緒だ」胡弘駿は笑って言った。「新品のように見えるのは、よく手入れをしているからだ。実は内部の部品は全て劣化していて、もう長いこと狩りには使っていない」
二人は楽しく話し込み、いつの間にか日が暮れていた。
アンは料理を作り終えた。香り高い肉のスープで、スープは濃厚で純白、ミルクのような質感があった。肉は柔らかく煮込まれ、油っぽいスープの表面には野菜が浮かび、緑色が点々と散りばめられ、食欲をそそった。
肉の香りは人を誘う小悪魔のように、韓瀟の視線を釘付けにした。彼は唾を飲み込み、7日間の乾パンで苦しめられた胃が鳴り響き、頭上には胡弘駿への好感度+1+1+1が次々と浮かんだ。
がつがつと夕食を平らげると、胡弘駿は韓瀟に一泊するよう勧めた。
親切な申し出を断れず、夜道を進むのも危険だと考え、韓瀟は承諾した。カーテンでテントの中に仕切りを作り、胡弘駿とアンは彼のためにベッドを用意した。
「あなたのバックパックが大きすぎるから、外に置かせてもらうわ」とアンが言った。
テントのスペースは限られており、彼の仕切りはとても狭く、ベッドを置くのがやっとで、様々な銃で一杯のバックパックを置く場所はなかった。
彼は考えた後、胡弘駿から獣皮を借り、バックパックから余分な銃を取り出し、全ての弾丸を抜き、トリガーを外し、獣皮で丁寧に包んで、隅に置いた。用心深く、獣皮の包みに木の葉を挟んでおいた。包みが動かされれば、翌日に分かるはずだ。
そしてバックパックには全ての弾薬を入れ、ちょうどベッドの足元に置けるサイズだった。韓瀟は73型ホーネットハンドガンに弾を込め、枕の下に置いた。胡弘駿の親切な歓待に感謝しつつも、必要な警戒は怠れなかった。
しかし韓瀟が頭を枕に付けた瞬間、7日間張り詰めていた疲れが爆発し、まばたきする間もなく深い眠りに落ちた。
胡弘駿は微かないびきを聞いて、笑いながら首を振り、アンに小声で言った。「疲れているようだね。邪魔しないようにしよう。」
アンは頷き、掃除の動きを静かにし、鍋や食器を抱えてテントを出て、外へ洗いに行った。
……
「おじさん、おじさん！お腹すいた！」
胡飛が慌ただしく飛び込んできた。顔は土まみれで、額には何かの固いもので殴られた大きな腫れがあった。もし韓瀟が起きていれば、この男が昼間自分を襲った長髪の若者で、胡弘駿の甥だと分かっただろう。
胡弘駿は眉をひそめて言った。「今日はどこへ行っていた？一日中姿が見えなかったぞ。」
「ぼ、ぼくは外で狩りをしていました。」胡飛は小声で答えた。父親が犠牲になってから、ずっと胡弘駿と暮らしており、この叔父を恐れていた。
甥のこの臆病な様子を見て、胡弘駿は嘘をついていることが分かった。胡飛の耳をつまみ、低い声ながら厳しく叱りつけた。「また悪さをしていたのか！前回も言っただろう、あの壊れた銃を持って人を脅かしに行くなと。もう一度やったら、お前の三本の足を折るぞ！」
耳をつままれ、胡飛は涙が出るほど痛かった。心の中では不満だった。今日は強い相手に出くわして、ボコボコにされただけでなく、木に縛り付けられて半日も過ごし、空腹で頭がクラクラしているのに、おじさんは少しも分かってくれない。
「やめてよ、おじさん。一本だけ残してよ。」胡飛は泣き顔で言った。
「左足と右足、どっちを残したい？」
「真ん中のやつ……」
「それは無理だ。そこは必ず骨折させてやる。」胡弘駿は手を上げかけたが、突然韓瀟の睡眠を邪魔してはいけないと思い出し、胡飛を放して恨めしそうに言った。「明日お前を殴る。」
胡飛はテントの中に見知らぬ人がいることに気づき、好奇心から覗き込んだ。カーテン越しに客の顔を見ようとしたが、見た瞬間、胡飛の顔は真っ青になった。
昼間のあの恐ろしい男じゃないか！
ああ、額がもっと痛くなってきた。
「何をじろじろ見てる。今夜はお前、外で寝ろ。」胡弘駿は不機嫌そうに言った。予想に反して、胡飛は反論せず、幽霊でも見たかのような顔をして転がるように逃げ出した。胡弘駿は不思議そうに自分の顔を触りながら、「俺はそんなに醜いのか？」と考えた。
……
胡飛は慌てふためいてテントを飛び出し、夜風に当たってようやく我に返った。
「おかしいな、なんで逃げ出したんだ。ここは俺の家なのに！」
あの恐ろしい男が運悪く自分の手の内に入ったのだから、そう簡単に許すわけにはいかない。胡飛が戻ろうとした時、韓瀟に吹き飛ばされた場面が脳裏をよぎり、すぐに怖気づいて足を止めた。韓瀟に仕返しする勇気はなかった。
恐れてはいたものの、胡飛が韓瀟に対して恨みを持っていないというのは嘘だ。韓瀟に直接仕返しする勇気はないが、このまま済ませるのは悔しかった。
「胡飛よ胡飛、男としての度胸を見せろ。恨みは恨みで返せ！」
胡飛は思い切って復讐の方法を考えた。韓瀟の膨らんだバックパックが気になっていた。さっきテントで見かけた獣皮の包みは、家にはなかったものだから、きっとあの恐ろしい男の荷物に違いない。
……
真夜中、すべてが静まり返り、居住地の全員が眠りについた頃、長い間待っていた胡飛はついに行動を起こした。つま先立ちで、泥棒のようにこっそりとテントに忍び込み、慎重に獣皮の包みに手を伸ばした。
「へへへ、どんなものを持ってるのかな？」
獣皮を一枚一枚めくると、胡飛は目を見開き、尻もちをつきそうになった。
銃だ！
すべて上質な銃器ばかりだ！
胡飛は狂喜し、貪欲な目つきになった。やはり良いものだ！
すべての銃を持ち去りたい衝動に駆られたが、韓瀟の恐ろしい姿を思い出すと、途端に気が萎えた。あの恐ろしい男が荷物がなくなったことに気づいたら、きっと殺されるだろう。
「全部は持っていけない……」
胡飛は名残惜しそうな表情を浮かべ、歯を食いしばって73式ハチハンドガンを2丁取り、これ以上の欲は出さなかった。
「まあいいか、おじさんがもてなしてやったんだから、銃2丁くらい持っていっても文句は言えないだろう。」胡飛は心の中で自分を納得させ、獣皮の包みを元通りに戻し、こっそりと立ち去った。
小さなハンドガンが2丁なくなっただけなら、あの恐ろしい男も気づかないだろう。
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