断頭天使は攻撃的な伴生ペットではなく、その体は聖なる光に包まれ、リースの前に浮かんでいた。
リースが手を伸ばすと、断頭天使の体が素早く変化し、白い十字架となって彼女の掌に落ちた。
十字架から神聖な光が放たれ、それを持つリースは神聖な光に包まれた女神のように見えた。
周文はようやく理解した。なぜリースが小仏寺のMysterious Powerに殺されなかったのか。それは十中八九、断頭天使の力が彼女を守っていたからだ。
周文は躊躇することなく、振り向いて翼を広げ、小仏寺の中へ突っ込んでいった。
銀翼飛蟻から変化した翼は、伝説レベルに匹敵するスピードを周文に与え、瞬時に石段の終わりにある小仏寺の大門前まで到達した。
本来、周文は現実で小仏寺に入って冒険するつもりはなかったが、今は多くを考える余裕はなく、中に避難するしかなかった。
「これ以上逃げたら、お前の足を切り落とすぞ」リースは冷たい声で言い、頭なし天使の十字架を握りしめ、猟豹のように周文を追いかけ、もう一方の手に持った長剣で周文の大腿を狙って斬りかかった。
以前のリースは安家への配慮から手加減していた。
しかし四人の監察員の死は、リースの怒りに火をつけた。今や彼女は周文を生きたまま連れ戻すことだけを考え、他の一切を顧みなくなっていた。
この一撃は恐ろしく速く、剣の光は瞬時に周文の背後に迫った。
周文は歯を食いしばって銀翼飛蟻を召喚し、後衛として残し、自身は小仏寺の中へ飛び込んだ。
周文が小仏寺に入った瞬間、背後でカチンという音が聞こえ、振り返ると、銀翼飛蟻の両前脚がリースによって切断され、額にも切り傷が付き、血を流していた。
現実はゲームと違い、銀翼飛蟻がここで死んでしまえば二度と復活することはできない。周文は意識を集中して銀翼飛蟻を召還し、自身は仏殿に向かって全力で走り続けた。
銀翼飛蟻の翼の加護を失った周文のスピードは大幅に低下した。
小仏寺の内部はゲーム内と全く同じで、周文が小仏寺に入って最初に目にしたのは、小般若経が刻まれた石碑だった。
現実の石碑はより古朴で素朴に見え、まるで何千万年もの歳月を経てきたかのようで、表面の斑驳とした錆びは石碑をより一層荘厳に見せ、言葉では表現できない韻味を醸し出していた。