章節 3: 最初の一歩
桜咲美月は、僕の言葉に笑みを広げた。
手を握り返し、その温かさを感じながら、少し緊張していた肩の力が抜けたように感じた。
「うん、ありがとう。本当に、心強いよ。」
美月は瞳を潤ませながらも、すぐに明るい表情に戻った。
「それに、あなたがいてくれるから、きっと大丈夫だよね。」
彼女は一瞬、何か思い悩むような顔をしてから、再び笑顔を見せた。
「そうだね、この風の作戦、やってみる価値はあるかも！」
その時、美月の目がふと窓の外に向けられた。空はまだ曇り、雷鳴が遠くで響いている。
「でも、本当に風が強かったんだよね…」
彼女の声には、ほんの少しの真実が混ざっていた。
彼の前では、彼女の超能力を隠すことはできない。それでも、彼女は自分の力と向き合いながら、これからどう生きていくべきかを考えていた。
「ねえ、もし私がもっと強くなったら、この力をみんなのために使いたいんだ。」
美月の目には、新たな決意が燃えていた。
「だから、一緒に頑張ろうね。」
その言葉に、私も力強く頷き返した。二人の絆は、更に深まっていった。
「美月、その決意ならきっと何だってできるさ。」
僕は彼女の目を見つめ、真剣に頷いた。
「でも、無理はしないで。君が君らしくいることが、周りの人たちにとって一番の力になるんだから。」
窓の外の曇り空を一緒に眺めながら、僕は続けた。
「もし君の力が誰かを守るためのものなら、きっとその時が来たら迷わず使えるよ。でも今は、焦らずに自分のペースでいいと思う。」
彼女の瞳に映る決意の光を見て、僕の胸にも温かな思いが込み上げてきた。
「だから、どんな時も一緒に頑張ろう。僕はずっと君の味方だから。」
美月は微笑みながら、小さく「ありがとう」と呟いた。その声には、少しだけ安心したような響きがあった。
「美月、それならまず最初の一歩を踏み出そう。」
僕は彼女の言葉を受け、少し身を乗り出した。
「実は、さっき噂を耳にしたんだ。この学校には君の力に気づいている人たちだけじゃなく、それを狙ってる何者かがいるらしい。雷雨の日のことを嗅ぎ回ってる連中がいるってね。」
彼女の表情が一瞬で曇った。
「だから、次は君が守られる番だ。僕が手を貸すから、一緒にその連中の正体を探ってみないか？」
窓の外に目を向け、雷雲の向こうに不安を隠したままこう付け加えた。
「君の力をどう活かすか。それを見つけるためにも、このチャンスを掴もう。」
進むべき道が動き出す予感がした。
桜咲美月の瞳が大きく見開かれた。
その言葉に彼女の胸は締め付けられるように感じたが、同時に新たな決意が芽生えた。
「狙ってる…何者かが…」彼女の声は微かに震えていた。
しかし、すぐにその目には鋭い光が宿った。
「そうね、私たちで何とかしなきゃ。」 美月は窓の外を見つめながら、ゆっくりと僕の方を向いた。
長い黒髪が柔らかく揺れ、彼女の決意を映し出しているようだった。
「一緒に探るって…本当にできるかな？」彼女の口元には不安と期待が交錯していた。
「でも、私一人じゃ無理だと思ったんだ。だから、、ありがとう。」 彼女は小さく息を吸い込んだ。
その瞬間、雷鳴が遠くで響き渡り、美月の心臓が一瞬止まるように感じた。
「よし、行こう！」
美月は僕に向かって力強く微笑み、その手を握りしめた。
「私たちならきっと見つけられる。君と一緒なら、どんな困難も乗り越えられる気がする。」
その言葉と共に、美月の超能力が微かに反応した。彼気中を漂う電気のエネルギーが、彼女の精神と共鳴し始める。
「よし、美月。まずは手がかりを探そう。」 僕は彼女の手をしっかり握り返しながら、窓の外を見つめた。
雷鳴が消えた空の下には、何かが潜んでいる気がした。
「噂を嗅ぎ回ってる奴らがどこから情報を集めてるのか、探るのが第一歩だ。玲奈ちゃんが絡んでるかもしれない。あの日の出来事について何か知ってるか聞いてみよう。」
美月は一瞬迷ったように眉をひそめたが、すぐに力強く頷いた。
「玲奈ちゃんのこと、私に任せて。彼女ならきっと何か話してくれるはず。」
僕は頷き、彼女に続けた。
「その間に、僕は校内で噂を流している連中の動きを追ってみる。もし何かあればすぐに知らせるよ。」
彼女の手から微かに伝わる静電気が、何か新たな出来事を予感させた。
この先、僕たちの力が試される時が来ると確信していた。桜咲美月は僕の言葉に深く頷いた。
彼女の瞳には、勇気と不安が交錯していた。
「うん、わかった。玲奈ちゃんから聞き出せるよう、私の力を信じてね。」
そう言うと、美月は教室を一瞥し、何かを思い出したように微笑んだ。
彼女は静かに扉の方へ歩き始め、振り返りながら言った。
「待ってて、すぐに戻る。話してくるから。」
その瞬間、美月の背中に微かな光が走った。彼女の念力が覚醒し、まるで空気が震えるような感覚があった。
彼女は小さく息を呑み、再び前を向いて教室を出て行った。
廊下に出た美月は、心の中で玲奈の名前を呼びかけた。
すると、すぐ近くから隠れた感じの存在を感じ取り、美月の超能力が反応し、玲奈の位置を正確に知ることができた。
美月は急いでその方向に向かい、角を曲がると、そこに玲奈が立っていた。彼女は驚いた顔をして美月を見上げた。
「美月…どうしてここが？」
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