霍北宴は長い脚で早足で歩き、すでに階段を上がっていた。
許南歌は宋詩詩の方へ歩み寄った。
彼女は病院の服を着て車椅子に座っていたが、興奮して立ち上がろうとすると、そばにいた中年の女性が慌てて彼女を支えた。「まず座りなさい」
宋詩詩は座り直すと、そばにいる二人を指さして許南歌に説明した。「恩人さん、こちらは私の両親です」
そう言うと、宋詩詩の母親である宋奥様が許南歌の手を取り、目に涙を浮かべながら言った。「良い子ね、私たちの詩詩を救ってくれてありがとう。あの時の状況は後で看護師さんに聞いたわ。あなたがいなければ、詩詩はもういなかったかもしれない!」
許南歌はこのような場面にどう対応すればいいかわからず、ただ「大したことではありません」と答えた。
宋詩詩の父親である宋さまは彼女の戸惑いを察し、急いで言った。「許お嬢様、我々宋家はあなたに命の恩があります。今後何かあれば、遠慮なく言ってください」
許南歌は断った。「宋さま、お気遣いありがとうございます。私はただ少し手を貸しただけです」
彼女は宋詩詩の方を向いた。「手術は終わったの?」
「はい、これからしばらくリハビリが必要です。恩人さん、私は今リハビリ棟に入院していますが、時間があればぜひ会いに来てください」
「わかったわ」
宋詩詩は長時間外出するのは適していないので、二人は連絡先を交換して別れた。
宋奥様は宋詩詩を車椅子で病室に戻しながら言った。「この許お嬢様は目が澄んでいて、本当に素敵な人ね...宋さん、聞いてる?何を考えてるの?」
宋さまは我に返った。「ああ、ただこの許お嬢様がどこかで見たことがあるような気がして...」
「誰が見覚えがあるって?」
突然、病室から宋錦川の声が聞こえた。三人は宋錦川が見知らぬ男性を連れてソファーに座っているのに気づいた。
その見知らぬ男性は三人を見るとすぐに立ち上がって挨拶した。「宋さま、宋奥様、宋さん」
宋さまは少し不快そうな表情を浮かべ、息子が人を連れてきて娘の邪魔をしたと感じた。
宋詩詩も部外者に会いたくなかった。