「今度は何をして追い出されたんだ?」チョウは、通りかかりに僕を見て面白そうに尋ねた。
「いつも教室から追い出されるみたいに言うなよ!」
「そう見えるけどな。他のクラスに迷い込んだり、今度は自分のクラスから追い出されたり。今度は何をやらかしたんだ?」
「お前が問題を引き起こしてるんだよ!お前が王子を演じるってことでクラスのみんなが大騒ぎしてるんだ。みんなお前に対抗する計画を立ててて、僕はお前の友達だから追い出されたんだ。」
「誰かが喜ばないだろうとは思ってたけど、クラスが同意した以上、断れなかったんだ。ネクタイがまた曲がってるぞ。」チョウが指摘しながら近づいて直してくれた。「今朝も直してやっただろ?いつになったらネクタイがまっすぐになるんだ?」
「多分、学校に迷わずに来られるようになるのと同じ頃だろうね。」僕はニヤリと笑って答えたが、チョウは首を振った。
「それなら、ずっと君を見守っていなきゃならないな。」彼はため息をついたが、その微笑みは気にしていないことを示していた。なぜかはわからなかった。
「君のクラスは白雪姫をやるんだろう?君の役は?」
「白雪姫だよ。」僕は怒りを込めて言った。「学校に行く途中で迷子になるほどアホなら、変なおばあさんから何かを食べるほどアホだってさ。面白いだろ?」
チョウが笑うと思ったけど、彼は驚いた顔をしていた。
「チョウ、大丈夫?」
「...なんでもない。でも、白雪姫か...本当にキスシーンをやるつもりなのか?」彼は明らかに苛立って尋ねた。僕は笑った。
「ハハ!君の毛むくじゃらの眠れる森の美女が負けるのを心配してるのか?残念ながら、僕のかわいさだけで十分だよ。本物のキスなんて必要ないさ。」
「どうしてそう言い切れる?」
「ジュンが王子を演じるんだ。彼は僕の妹と付き合ってる。誰が何を言おうと、彼は本気で僕にキスしないさ。」
僕の説明にもかかわらず、チョウの不機嫌な顔は消えなかった。彼がなぜ怒っているのか理解できなかった。
「おい、君たち、この箱を二階の倉庫に運ぶのを手伝ってくれ。」と先生が呼びかけた。だから、チョウと僕は手伝うことになった。
僕たちは倉庫に入り、僕は背伸びしても箱を上の棚に乗せられなかった。すると、チョウが後ろから来て、それを手伝ってくれた。彼の指が僕の指に触れ、彼の体が僕に近づき、彼のコロンの香りが僕の心臓をドキドキさせた。
このぎこちない感じがなぜ僕を困らせ続けるのか?僕に何が起こっているんだ?
「ありがとう。」と僕は普通に振る舞おうとしたが、チョウが一歩下がったとき、少しがっかりした。その後の気まずい沈黙に、僕は話題を振ろうとした。
「ところで、君は王子を演じるんだ。本気でキスするつもりか?」
チョウは考え込んで僕を見つめ、尋ねた。「...君は本気でキスしてほしいのか?」
「何で僕に聞くんだ?」
「君は本気でキスしてほしいのか?」彼は繰り返した。
「それは君次第だよ。」
「それなら、するよ。」
そう言って、チョウは近づいてきて、深くて予想外のキスをした。僕は驚いた。
チョウがキスした!彼が僕にキスした!なぜこんなにも心臓がドキドキするんだ?
「何でそんなことをしたんだよ!?」僕は口を覆いながら動揺して言った。頭の中は混乱していた。
「君が君次第だと言ったからさ。」チョウは、鋭い目で何を考えているかわからない顔をして答えた。「そして、僕は本気でキスすると言った。」
「お姫様のことを言ったんだよ!」僕は顔を赤らめて、心臓がバクバクしているのを隠そうとしてどもった。
「お姫様の白雪姫はここにいるだろ。」
「バカ!!」僕は叫んで走り出した。
チョウがキスした。彼が僕にキスした!なぜこんなにも心臓がドキドキするんだ!?