地球では、量子物理学の確立は非常に曲折に満ちていた。微視的な領域では、世界はあまりにも奇妙で、量子物理学を創始した人々でさえ、自分たちの発見を信じられないほどだった。マックス・プランクは自分の成果を受け入れることさえできなかった。
彼がエネルギーの放出と吸収が不連続で、分布が不均一であることを発見したとき、マクスウェルの方程式で構築された数学的美しさに満ちた物理学の殿堂は崩壊した。
「マクスウェルの方程式」を表す「天歌行」の「フィールド」は、「Daisan sanshabai」の「不連続」「不均一」によって歪められ、安定性を失い始めた。この二つの法力が天雷勾地火のように衝突し、王崎は全身の経絡に痛みを感じ、思わず声を上げそうになった。
そしてこの衝突は、「天演図録」によって形成された法力をも乱した。
幸いなことに、「天演図録」の技法システムは自由自在で、「走火入魔」の問題は存在しない。王崎はすぐにこの法力を再び制御できた。
そして、修行を続けた。
「天演図録」の法力を導くため、王崎は「天歌行」と「Daisan sanshabai」の力を調和させる余裕がなかった。二つの技法の衝突はますます激しくなった。王崎は時に全身がしびれ、時に法力が無数に砕け散り、継続できないと感じた。
「天演図録」の修行が半ばに差し掛かり、法力が丹田に達したとき、「天熵決」が反乱を起こし始めた。熱気が王崎の下腹部から噴き出し、瞬時に全身に広がり、王崎は全身が火の窟に落ちたような感覚に襲われた。
人体が耐えられる温度の上限は、およそ百度程度である。
「天熵決」の熵増加法がもたらす温度上昇には、上限がない。
修士は確かに極高温下でも生存できるが、それは法力で高温からの損傷を遮断しているだけであり、法力の支えがない状態での肉身は一般人とさほど変わらない。「天熵決」の制御不能がもたらす烈火焚身は絶対に免れることができない。
王崎は血を吐きそうになったが、歯を食いしばって「天演図録」を進め続けた。
今回「天演図録」を修得できなければ、今後体内の法力がさらに強くなったとき、成功の可能性はさらに低くなるだろう!
高温により王崎の法器の長衣から焦げ臭い匂いが立ち込め、中の衣服はすでに灰となっていた。王崎が一周天を完成しようとしたとき、「天光化物訣」も暴走し始めた。
「天演図録」が一周天を完成し、百会穴の新生法力と融合しようとしたとき、「大象像波功」が制御不能となった。
「天演図録」が第二周天に入ると、「波跡玄気」が制御不能となった。
王崎は口の中に消えない生臭い甘みを感じた。血液が口角から流れ出していたが、高温で蒸発して地面に落ちる前に乾いてしまう。下の蒲団はすでに無意識に放出された相性波のHanamiによってずたずたに切り裂かれ、その切れ目は石の床にまで及んでいた。
諦める...わけには...いかない...
王崎の意識はすでに朦朧としていたが、それでも必死に修行を続けた。
法力の循環を構築するには、三周天を巡らせることが最低限の要件だ。今ここで諦めれば、これまでの努力は全て無駄になってしまう。
法力は、「天演図録」の修行経路に沿ってゆっくりと進んでいった。
ついに、第三周天に入ると、最も安定していた「爻定算経」と「幾何書」の法力も相次いで制御不能となった。
今や王崎の体内の法力は激しく動揺し、どんな法力の流れも歪められてしまう。もし今修行しているのが「天演図録」でなければ、王崎はとっくに走火入魔で死んでいただろう。しかし、それでも楽な状態ではなかった。この全身の法力が動揺している状況下で、技法を一寸先に進めることさえ極めて困難だった。
しかし...諦めるわけには...いかない...
七つの穴から血を流す少年が低い咆哮を上げた。
耐えろ!
耐えろ!
指輪の中で、真阐子は首を振って溜息をついた。「少年よ、お前は本当に気付いていないのか?お前はすでにこれほどまでに自分の力にこだわっているということに。」
老人は、かつてこの頑固な少年が「天地がどうあれ、他人がどうあれ、全て私には関係ない。私はただ一生を華やかに生きたいだけだ」と言った時の少年らしい意気込みと輝く姿を、はっきりと覚えていた。
今、彼の輝きは衰えていないが、その意気込みの中に、一筋の哀愁が加わっていた。
真阐子は独り言を呟いた。「お前は、自分が思っている以上にこの一方天地を気にかけているのだな!これはお前にとって、おそらく生涯の弱点となるだろう。」
「しかし今法修にとって、このような心性こそが上上の才と呼ぶにふさわしいのだ!」
人気のない伝功殿で、哀愁を帯びた声が響いた。
真阐子は大いに驚き、叫んだ。「誰だ?」
青い衣を着た老者が虚空から一歩踏み出した...いや、違う!真阐子の大乘レベルの数の灵识は相手の動きの軌跡を捉えていた。つまり、これは瞬間移動のような法術ではない。しかし、相手の身法の軌跡があまりにも奇妙で、真阐子には全く理解できなかった!
老者は生まれつき厳格な顔立ちをしていたが、その気質は温厚で優雅だった。彼は微笑んで答えた。「希柏澈だ。」
希柏澈、万法門第一のプロ、計算の道の無冠の王である。
万法門弟子の大多数でさえ、自分たちのこの大修がどれほどの強さに達しているのか分からなかった。しかし、この絶世のプロの強さを示す一つの出来事がある——数百年前、希柏澈は二十三の問題を提起した。これら二十三の問題は、それぞれが数理の根本に関わり、それぞれがシャオヨウを指し示していた!
しかし王崎は相手の到来に気付いていなかった。
希柏澈が現れた瞬間、少年はついに第三周天の運転を完了し、「天演図録」の法力は彼の体内で自律的に循環できるようになっていた。これを完成させた王崎の緊張した精神は、避けられずわずかに緩んだ。心の弦が少しでも緩んだ瞬間、積み重なった疲労が一気に爆発したのだ!
「ひどい...眠っては...いけない...あ!」
今気を失えば、体内の乱れた法力を調整することができなくなる!そうなれば、自分が生き残れるかどうかは「天演図録」の自動調整能力次第となってしまう!
ひどい!
王崎は歯を食いしばり、最後の一筋の意識を必死に保った。
そのとき、希柏澈が動いた。
彼は右手を王崎の後頸部の大椎穴に当て、微細な一筋の法力を王崎の体内に送り込んだ。
すると、奇跡が起こった。
王崎の体内の「天演図録」の法力が急激に運転を加速し、極めて短時間で十数回の進化を遂げた。進化するたびに、「天演図録」の修行経路は王崎の現状により適合していった。
そして衝突していた様々な心法はこの法力の刺激を受けて、さらに混乱した。しかし、この混乱は数種の法力が互いに押し合う状況を打破し、散り散りになった法力は互いの干渉によって相殺された。王崎の体内は瞬時に平静を取り戻した。
希柏澈は算学の法によって「天演図録」の進化を推進し、さらに王崎の体内の法力を相互に相殺させたのだ!
十数回の進化を経て、「天演図録」はある壁に突き当たったかのように急に停滞し、その後一斉に両手の劳宮に流れ込んだ。数秒後、強大な法力が王崎の両手を貫いた。
「天演図録」第二重!
希柏澈の助けを借りて、王崎が本来力を入れるつもりのなかった「天演図録」が突如として突破を果たしたのだ!