パラレルワールドへのカウントダウン6日。
庆尘が外に出ると、向かいの102号室のドアが開いており、中には防塵用のビニールシートが敷き詰められていることに驚いた。
部屋の中では、作業員たちが床と壁を改装していた。普段見かける作業員とは少し違い、彼らは整然とした制服を着ており、背中には「三炽装飾」という文字が印刷されていた。
庆尘はこの地域でそのような装飾会社を聞いたことがなかった。
彼は作業員の一人に尋ねた:「これは?」
作業員は彼を見て笑いながら答えた:「引っ越しですよ。」
庆尘は何気なく聞いた:「じゃあ、家主は?近所付き合いもあるし、挨拶したいんですが。」
作業員は答えた:「分かりません。私たちは仕事をするだけで、家主がどこにいるか知りません。」
庆尘は不思議に感じた。
向かいの102号室は長い間誰も住んでいなかったのに、どうして突然新しい住人が?
向かいの102号室だけでなく、上の階からも物音が聞こえてきた。
庆尘が階段を上がってみると、202号室も改装中だということが分かった。
どういうことだ、一度に二軒も新しい住人が来るなんて、明らかに普通じゃない。
しかし、そこには引っ越し作業員しかおらず、庆尘は家主の姿を全く見ることができなかった。
廊下の外では、トラックから家具や日用品を降ろしている人々がいた。
それらの物品は布や紙の収納袋で丁寧に分類されており、壊れやすいもの、本、衣類など、種類は多岐にわたっていた。
そして、各箱の外側も防塵カバーで覆われていた。
一瞬で、新しく引っ越してくる住人が裕福か身分の高い人物だと判断できた。
彼は自分の背後にある古びた建物を見て、この豪華な引っ越しの様子を見比べた……
金持ちがここに引っ越してくる?冗談じゃない。
目の前のこの光景は、彼の住む場所とは全く相容れないものだった!
向かいの部屋は彼の家と間取りは違うものの、面積は最大でも92平方メートルで、古い建物構造で、電気製品の消費電力が大きいとブレーカーが落ちてしまう。
金持ちが狂っていない限り、ここには引っ越してこないはずだ。
つまり、相手は別の目的がある……里世界だ。