黒雲が月と星を覆い、一面の暗黒が広がっている。
夜色の下、地面基地群の灯りは明るく、ライトの光柱が漆黒の空を切り裂く。ガードたちは至る所で捜索しており、一台もしくは二台の戦車のエンジン音が夜を昼のように騒がしくする。ヘリコプターは探照灯を照らし、上から蹤跡を探しており、円形の光斑が地面を行き来している。
このような大規模な捜索は、韓瀟とハイラの行動にかなりの困難をもたらしたが、幸いにもハイラは地形をよく知っていた。二人は一隊にまた一隊となるガードを次々に避け、基地群の端にある一軒の金属製の家の影に身を隠しながら、南方の戦地を遠望していた。
南方の戦地と基地群の間には、開けたDepth areaがあって、坂が傾斜している。二人の視点から見ると、これは下り坂で、出て行けば、ちょうど阵地が一望できる。しかし、今の南方の戦地は明るく照らされ、人々の声が騒がしく、探照灯が何度も小坂を照らしていて、まるで夜空の白い太陽のようだ。
「まずい、阵地の人手が何倍も増えて、今の警戒レベルだと、注意を引くことなくはいられない。阵地に向かうためには、この下り坂を通らなければならない。隠れることはできない。いったん露見したら、私たちは確実に死ぬ。」ハイラは声を押し殺し、重々しく言った。
組織の影響力はまさに巍然たる山脈のようで、六カ国に何度も撃退されたが、まだ崩壊しきっていない。依然として巨大な存在であり、彼らは孤立して弱小だから、正面からぶつかってもまったく通用しない。唯一の方法は、こそこそして逃げることだ。
韓瀟は何度か阵地を見た後、「車も銃も砲もあり、へい、まるで小戦争の規模だな。僕たち三人を捕まえるためだけに、えらく力が入ってるね。」と口にした。
「正確にいうと、あなたを狙っている。我々はただのおまけだ。」ハイラは無表情で、「あなたに味方はいるの?」と問いた。
彼女は、韓瀟の潜入には何かしらの影響力を持つサポートがあったと考えた。そうでなければ説明がつかない。だから、必ず彼を逃がす人がいるはずだと思った。
しかし、韓瀟はそれを断固として否定した。それにより彼女の心は底に沈んだ。