分裂は既に決定的な局面で、独立派の去る意志は堅固、守护派は驚きと怒り、明らかにみんなで種族を保護してきたのに、今は裏切って去る者がいて、去る前にかつて守護していたものを何度も打撃を与えた。守护派の感情は激高し、大声で問いただした。
「あなたもスニール人だ、危機の際、どうして自分の種族を捨てて行けるの!?」
ファゴナは無表情で、「私の種族、私の外見、私の生命形態、これらは生まれた時から定められていた要素で、私の思考や立場を決定することはできない。私は自分の力を奉献してきた。今、私は新しい生活を望んでいる。」と言った。
守护派の人々は再度疑問を投げかけるつもりだったが、独立派の人々の顔色が堂々としていて、何の罪悪感もないのを見て、口元まで出た非難を唐突に言葉にすることができなくなった。向かい側の人々は皆、かつて肩を並べて戦った兄弟で、みんなが血と汗を流してきた。両者の関係は敵というわけではなく、ただ道を分かつ武者だ。ゆえに、彼らには独立派を非難する立場も余りにも少なく、ただ人はそれぞれの志を持つものだと言うしかない。
ファゴナは道をふさぐ人々を押しのけ、独立派の人々は堂々と去って行った。スニール族の兵士と守護派は、彼らが遠ざかる背影を見つめ続け、静かになった。
その時、各スニール人は暗い未来を見たようだった。泣き声がこぼれ出、戦闘時には死を恐れぬ鉄血の兵士たちが、この時には次々と涙を流した。これは心の支えとなる精神的な柱の崩壊だ。これまでの年月で、種族を守る超能者たちはスニール人の精神的なトーテムであり、戦争の動力とされてきた。兵士たちは死を恐れないが、現在の分裂には心を痛めている。
「時には精神的な柱の崩壊は、外部からの災害以上に悲惨な打撃を全体にもたらす」と韓瀟が首を振った。苦境のスニール族は、頑強な身体障害者のようだ。身体の欠損が彼を打ち負かすことはなく、依然として奮起する意欲を保持している。思考は健全だが、精神的な信念も崩壊して、心理的にも破綻してしまい、動力を失ってしまった。
だから、分裂が種族に及ぼす影響は、ただ一群の超能者が少なくなっただけではない。人々や兵士の精神、種族の頑丈さ、すべてに深遠な影響を与えた。