辺境の町が待ち望まれた雨の日を迎えました。天空は暗雲で覆われ,屋根と窓ガラスに激しく打つ雨音がピシャリ、パシャリと響き渡ります。
一般的に春は雨が多い季節で、温暖で湿潤であるはずです。しかし、辺境の町では、「邪鬼の月」が終わると雨がめったな事です。幸い、田園は川のほとりにあるため、水やりは非常に便利です。今日は、この大雨が空気の重苦しさを払い、ナイチンゲールが窓を開けて土の香り溢れる空気が室内に流れ込むのを許しました。
遠くを見渡すと、赤水河の向かい側の耕作地はすでに新芽を出し始めており、新緑の麦の苗が無尽蔵に続き、視野の端まで伸びています。雨水に洗われて、それらの作物は非常に鮮やかで、灰色がかった川の水とは対照的に見えます。
ローランは伸ばされた腰をゆっくりと曲げ直し、手に持っていたガチョウの羽ペンを筆入れに投げ込みました。
「描き終わったの?」ナイチンゲールが訊ねた。
「うん、全く新しい武器だ。火縄銃の射撃速度を何倍も速くできる」とローランは十数枚のデザイン図を一まとめにしてまとめる。「これをリボルバーライフルと名付けたんだ。見てみるかい?」
「見ないわ、」彼女は口を尖らせた。「どうせ理解できないから」
「これは基本型だよ。もし銃管を短くするなら、それはリボルバーハンドガンだ。それは常に持ち歩くことができる。しかし、それを役立たせるためには、もう一つの重要な技術を解決する必要がある。その時には、君たちに一本ずつ出して、もう聖職裁判軍を恐れることはなくなるだろう」
「つまり、これで普通の女性が一人で武装した大男を倒せるって?」
「それは一人ではなく、何人もだよ。」とローランは得意げに笑った。「運が良ければ、五人の大男でも問題ない」
ナイチンゲールは信じられない表情を浮かべ、何か言おうとした矢先、オフィスの外からドアをノックする音がした。
「殿下、バルロフの弟子が王都から帰ってきました。彼は硝石の商人も連れてきており、現在城外であなたの謁見を待っています」。