昇進する度に生命層位が昇華し、六十レベルというのは大きな変化が起こる分岐点であり、これが1.0バージョンと2.0バージョンの交界である。昇進の効果が量的に積み重なり、質的な変化に至り、生命形態が初めて進化する。進化の方向は完全にランダムではなく、初期の種族の進化可能性に基づいて相応の進化方向を示す。例えば、炭素基盤の人間の進化方向は基本的にはヒューマノイド体型である。
進化のチェーンは固定されておらず、無数の可能性が分岐し、適合度は進化後の元々の種族に対する覆し具合、つまり変化の大きさを示す。適合度が低いほど結果は制御不能となり、悪性の結果が出る可能性があるが、同時に良性の変異が出る可能性もある。ギャンブルのようなもので、初級エネルギーボディ生命などは、炭素基盤の人間の体組織を覆し、肉体を捨てて何らかのエネルギー実体に変わる。
それに対して、適合度が高いほど進化方向が最も合理的であるということを示す。韓瀟が選んだⅠ型宇宙人族の適合度はほぼ100%で、「宇宙人族」は星間海で最も一般的なヒューマノイド系の種族であり、様々な環境への適応性が高まり、種族特性である「適応性集団」により、異常状態抵抗力、物理抵抗力、心への抵抗力が全て+10%になる。
各種族の成長資質は異なり、進化すると属性の補完が得られ、これは大幅な昇進である。各進化方向にはそれぞれの傾向があり、星海には数千、数万種の種族が存在し、この段階からプレイヤーのキャラクターのユニークさが明らかになる。
他の四つの選択肢と比べて、彼が選んだⅠ型宇宙人族は結構平凡で一般的なものである。そのため、全体的な強化が図られているのだが、特色が足りない。しかし、普遍性の強い種族であれば、その後の進化方向は広がる。進化は不可逆で、選択が間違っていても修正は出来ない。韓瀟は自然とこの重要な進化ツリーを覚えていて、Ⅰ型宇宙人族は彼が考えた最良の初回進化種族の一つであったので、全く迷わず選ぶことができた。
超能者が強くなるプロセスは進化のプロセスそのものであり、NPCも同じである。ただ違いは、ダッシュボードがないため、自由に進化方向を選ぶことができないということだ。
「ひっ」韓瀟が冷たい空気を吸い込んだ。