韓瀟は眉をひそめた。
信頼を築くには時間が必要だ。張偉は攻撃的に見えるが、それは彼が責任感のある隊長であることの証明でもあり、韓瀟は怒る理由はなかった。
しかし、彼をチームから追い出すことは不可能だった。上層部の承認だけでも、張偉には越えられない壁だった。
張偉は上層部の決定に反論できないことを理解していた。しかし、隊長としてチームを率いる責任がある。上からの突然の新人で、履歴も与えられず、韓瀟についてほとんど何も知らない状態では、チームを率いることは困難だった。
張偉が怒っている理由は、自分の隊長としての地位が脅かされているからではなく、上層部が彼らの小隊の安全を軽視していると感じているからだった。
突然配属された新人は、能力が不足していれば、誤った判断を下し、小隊を危険に陥れる可能性がある。たとえ意図的でなくても、やはり害となる存在だ。
張偉は新人を差別しているわけではなかった。ただ、新人は少なくとも2、3年の経験を積んでから秘密行動部に加入する資格があると考えており、新人と一緒にミッションに行きたくなかった。
誰でも彼の小隊に押し付けてくる。自分のチームを何だと思っているんだ、ベビーシッターか?!
部下の安全を全く考えていない。腐敗した特権階級め、塩魚の突きを食らえ!
張偉は密かに決意を固めた。もし韓瀟がチームに馴染めないなら、上層部の反感を買うことになっても、必ず彼をチームから追放する。最悪でも、この厄介者を他の小隊に押し付けてやる!
韓瀟は張偉の心の葛藤を知る由もなく、ただ彼の目つきが次第に険しくなっていくのに気づいた。この正義感の強そうな隊長が何を想像しているのかわからないが、なんだか自分がまた誰かを困らせてしまったような気がした……
そのとき、リン・ヤオのコンピュータが明るく光った。彼は首を苦労して動かして画面を見ると、表情を変えて言った。「緊急ミッションだ。上層部が即時出動を命じている!」
張偉は表情を引き締めた。「状況は?」
「マー・チンヤンの小隊が若芽基地への奇襲作戦中に待ち伏せに遭い、上層部が我々に即時支援を命じている。詳細は飛行機の中で説明する。」