「ここは何の用だ?」
「配達です。」
僕は簡潔に答え、剣を覆っている布を軽く持ち上げて見せた。
すると門番たちの顔色が一変した。どうやらこの剣の存在は、ただの王城守衛ですら知っているほど重要なものらしい。
「分かった。だが、剣をここで預けてもらう。」
「それは無理だ。この剣は、依頼人の手に直接渡すことになっている。」
門番たちは顔を見合わせた後、渋々と道を開けた。
こうして僕は王城の中へと進むことができたが、ここからが本当の試練だ。
広大な廊下を進んでいると、突然背後から声をかけられた。
「お前があの剣を運んできた者か?」
振り返ると、そこには黒いローブをまとった少女が立っていた。
年齢は僕と同じくらいだろうか。鋭い目つきと、魔力を感じさせる独特な雰囲気を持っている。
「そうだが、君は?」
「私はリリス。この城で魔術師を務めている。」
彼女の言葉に、僕は警戒を解くことなく応じた。
この世界では、誰が味方で誰が敵か分からない。
「その剣には、ただならぬ力が宿っている。それを運ぶお前も、ただの運び屋ではないようだな。」
「ただの運び屋だよ。依頼があれば何でも運ぶ。それだけさ。」
リリスは少し微笑むと、僕の前を歩き始めた。
「そうか。ならば、私もその剣の行方を見届けるまで付き合おう。」
こうして、謎多き魔術師リリスが新たな仲間として加わった。だが、彼女の登場は、この旅にさらなる波乱を呼ぶことになる。
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