馮軍は完全武装したスパイたちを引き連れて、息を切らしながら駆けつけ、韓瀟を見るなり慌てて上下を触り回して怪我の有無を確認し、「怪我はないか?」と尋ねた。
韓瀟は頬の擦り傷を指差し、不機嫌そうに「目が見えないのか?」と言った。
「無事で良かった」馮軍はほっと息をつき、表情を曇らせた。24時間警護対象が怪我をしたことで、顔が火照るような思いだった。
「お前のせいじゃない」韓瀟は彼を責めず、ノーサの死体を指差しながら眉をひそめて言った。「この男は萌芽組織の執行官で、超一流のアサシンだ。今まで失敗したことがない」
「ノーサ・コノか?」
馮軍はすぐに気付いた。知らないはずがなかった。かつて星龍の高官が大勢の目の前でノーサの銃に倒れたことがあった。ノーサは常に萌芽の切り札として、一度も失敗せず、まるで致命的な毒蛇のように六カ国を震え上がらせていた。
馮軍は突然気付いて、信じられない様子で韓瀟を見つめ、声も震えながら「待て、ノーサに不意打ちされたのに、逆に倒したのか!そんなに強いのか?!」
「今日初めて会ったわけじゃないだろう?」
韓瀟は不機嫌そうに言った。
心をダッシュボードに沈め、報酬情報が浮かび上がった。
[キャラクターカード:該当キャラクターの能力を一度解放]
[キャラクター:ノーサ・コノ]
[能力:幻影異能力(E)-対象の知性が50ポイント以上で無効化可能]
[使用回数0/1]
キャラクターカードは比較的珍しい消耗品で、特別なミッションでしかドロップしない。NPCキャラクターの能力を限定的に使用できる。以前は専門のワークショップがこのようなキャラクターカードを集めて、金に物を言わせる大金持ちに提供していた。韓瀟はこういうもので戦うタイプではないが、切り札が一つ増えるのは誰でも嬉しい。
韓瀟は早めに自由属性ポイントを知性に振っていて良かったと安堵した。偶然にもノーサの異能力を無効化できたが、もし能力に掛かってから気付いて振り直すことになっていたら、まずかったところだった。
「萌芽組織よ、このプレゼントは頂いた」韓瀟の目が光った。
敵となった以上、相手がどんな手段で攻めてくるのも当然だ。彼は非難も怒りもせず、暴力には暴力で応えるだけだった。