王芸、海城高校の優等生。
もともと計画通りなら、彼女は来年の3月30日、大洋の向こうで開かれる世界最有名な「AAPT PhysicsBowl物理競技大会」に参加するはずだった。
そして、その後は全国の一流大学に推薦入学するか、アイビーリーグの大学に留学するかしていったはず。
しかし、刘德柱と一緒にいたい一心で、本来は理系の学生として転校すべきだった。
ところが現在、王芸は南庚辰や庆尘と親しくなるためにわざと簡単な等比数列の問題を選んだにもかかわらず、学力不足な最下位サッカーと見られてしまった。
彼女の自尊心はこれを受け入れることができない!
王芸が南庚辰と話し合おうとした時、白婉儿がタイミングよく彼女を止め、小声で注意した。「小事を我慢できないと大計画が狂う。小牛が何と言ったか忘れたのか?我慢しなさい!」
「我慢する、」と言って、王芸は深呼吸して座席に戻った。
その時、南庚辰はまだ庆尘の側でつぶやいていた。「彼女が自分から頼んで問題を教えてほしいというのは、僕のことが好きだからじゃないかと思うんだ。」
庆尘はその話には乗らず、いきなり尋ねた。「君、もしかして、裏世界でハッカー業界に触れたか?そうでないなら、なぜ毎日プログラミングの本を読むんだ?」
「なんでもないよ、」南庚辰は心の中で引け目を感じながら答えた、「ただの趣味だよ、楽しむために学んでるだけさ。」
その時、庆尘は自分も何かを学ぶべきだと気付いた。
裏世界の科学技術は表世界をはるかに超えているとはいえ、それは知識が表世界にまったく影響を及ぼさないわけではない。
例えば、象棋 (将棋)は彼が18番刑務所にいた時のドアオープナーだった。
待って、庆尘は突然、自分が何を学ぶべきか思いついた。日本語だ。
裏世界で突然、自分の生い立ちの背景が増えたが、相手が何を言っているのかを理解するためには翻訳が必要なのだ。
過去十年間、庆尘は知識を求める姿勢を保ち続け、知識によって運命を変え、過去とのすべてのつながりを断つことを夢見た。
この習慣は、たとえ裏世界が訪れても変わることはない。
まず、彼は携帯電話を開いて日本語学習の基礎教材を検索し、淘宝(中国のショッピングサイト)で一気に4冊購入した。