宋詩詩の言葉に、宋おとうさんと宋おかあさんは一瞬驚いた。「詩詩、これは駄々をこねる時じゃないよ……」
しかし宋詩詩は口を開いた。「彼女は私が死にそうな時に助けてくれたの。今彼女が困っているのに、どうして離れられるの?海城のリハビリ施設も十分いいわ。私はこの病院にいて、恩人が無事になるのを待つわ。」
宋おとうさんと宋おかあさんは顔を見合わせた。「でももし本当に許お嬢様が殺人を犯したのだとしたら?」
宋詩詩の目が赤くなった。「それなら私は待ち続けるわ。許お墢様には親戚も友達もいないから、毎週の面会日に会いに行くわ!そうしないと、みんな誰かに会いに来てもらえるのに、彼女だけいないなんて、どんなに寂しいでしょう?」
宋おとうさんは苦笑いした。「それじゃあ、ここに住み続けるつもりなの?」
宋詩詩は俯いて、もう何も言わなかった。また甘やかされたお嬢様のような態度に戻った。
宋錦川はその様子を見て、少し安心した。
夫と姑に裏切られてから、宋詩詩は自信をなくしていたが、今またお嬢様の気まぐれを見せ始めたということは、良くなってきているのだろう。
彼はしばらく考えてから、ため息をついて言った。「京都の会社にまだ用事があるから、先に戻るよ。お父さん、お母さん、詩詩と一緒に海城でリハビリをしてあげてください。ここで休暇を過ごすと思えばいいでしょう。」
宋おとうさんは仕方なく言った。「わかったよ。」
……
許茵は許夫人、許おとうさんと一緒に帰らず、病院に残った。
彼女が霍おくさまの病室に行くと、お婆様が小さな歌を口ずさみながら、老眼鏡をかけてドラマを見ているところだった。
ドアをノックしてから、彼女は中に入った。
霍おくさまは彼女を見ると、すぐに顔色を変えた。「どうしてあなたが来たの?」
許茵は笑みを浮かべた。「お婆様、ひとつお伝えしたいことがあるんです……」
霍おくさまは手を振って遮った。「あなたの話なんて聞きたくないわ。さっさと出て行きなさい。」
2人のボディーガードがすぐに一歩前に出て、許茵を捕まえようとした。
許茵はすぐに叫んだ。「お婆様、許南歌に何かあったんです!」