私はただ茫然と見つめ、自分の目を疑った。
エルクの角が私に向けて下げられ、その頭を下げる姿さえも神々しく威厳に満ちていた。
そして頭を持ち上げ、一歩後ずさりした。
私は光り輝く姿に振り返った。
「あなたは一人じゃない」と彼は言った。「あなたが必要とする時、私はそばにいた。適切な時が来れば、あなたは運命を果たすだろう」
「運命を果たす?」私は驚いた。「何を言っているのかわかりません。そばにいたとはどういう意味ですか?説明してください」
「赤い月の娘よ。いずれわかるだろう」彼は私に保証した。私が懇願しようとしたその時、光は少しずつ薄れていき、やがて完全に消えてしまった。
そこには誰もいなかった。
私の目の前にまだ立っている白いエルクがいなければ、全てを想像したと言えたかもしれない。
今はエルクが草を食べていた。
夢か現実か判断しようとする前に、茂みから物音が聞こえた。
反射的に私は再び白いエルクの前に立ったが、今度はザデンだった。
私はほっとため息をついた。
「無事でよかった」私は胸を撫で下ろした。
「見つけたんだな」が彼の最初の言葉だった。
そして彼は私たちに近づいてきたが、私の足元に横たわる死んだ狼を見て立ち止まった。
「お前が殺したのか?」彼は尋ねた。
彼の目には驚きと不信の色が浮かんでいた。
見えない人物が狼を殺したと言えば、彼は私を狂人扱いしただろう。
だから私はただこう言った。「大変だったけど、なんとかできたわ。でも彼は脇に短剣を持っていたから、それを使ったの」
彼は言葉も出ないほど狼を見つめ、私は彼が狼をひっくり返さないことを祈った。
もしそうしたら、刺し傷が見つからないだろう。
幸いなことに、彼はそうしなかった。私はほっとした。
そして彼は狼を跨いで私のところに来た。そこで私は彼が狼を殺そうとしていたことを思い出した。
「どけ」と彼は言った。「角を取る」
私は首を横に振った。
これまで一度も、自分のためにさえ彼に逆らったことはなかった。
しかし今、私は彼のハンサムな顔と目の上を横切る傷跡を見つめていた。
その傷跡は彼をより危険で魅力的に見せていた。