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60.99% 謎めきの主 ピエロ編 / Chapter 86: 第86章 祈り

章 86: 第86章 祈り

所謂「中断式」の儀式魔法というのは、超越者が儀式を行う時、状況を見てそれを中断し、先に別のことを終わらせてから、また戻って続けることができ、尚且つ望む効果も得られるというものだ。

 これは儀式魔法の千年に渡る発展の中で派生した技巧である。多くの高ランクの儀式には必要なステップが多く、1時間、2時間、それどころか半日かけて完了させるものもある。そのプロセスを誰にも邪魔されず、事故が起こらないようにするのは難しいのである。

 先人たちの血と涙による戒め、度重なる失敗への反省を経て、「中断」できる儀式魔法は高レベルで主流となり、間接的に低レベルの一部にも影響を与えた。

 しかし「中断」できるとは言え、いつでも好きな時に中断できる、好きなように中断できるというわけではなく、神秘学の理論に従い、対応する技巧を習得する必要がある。そうでなければ儀式の失敗は避けられず、恐ろしい反動を招くことにもなりかねない。

 クラインの理解によると、あなたがある神の注意を引き、神があなたの願いを待っている時に、あなたが突然一言「待って、先に洗面所に行く」と言うとする。なら、おめでとう、あなたはもう永遠に洗面所に行く必要はなくなる、ということだ。

 ふぅ…クラインはため息を吐き、冷静さを保とうとした。

 何度も「開運の儀式」を行い、相応しいプロセスを作り「正義」と「吊された男」に試させてはいたが、本格的な、規定に沿った儀式魔法を実践するのは今日が初めてだった。

 ベッドの縁に立てかけた、銀の象嵌を施したステッキを見て、クラインは自身を象徴する 3本目の蝋燭を手にし、テーブルの真ん中に置いた。

 その直後、彼はセレーナの儀式用の銀製のボウルを3本目の蝋燭の前に置き、徽章が描かれた大釜の代わりとし、左側にはヨルガオ、スリープフラワーなどの植物のフラワーウォーターとエッセンシャルオイルを、右側には塩の入った皿、小型の銀製ナイフ、模造羊皮紙、羽根ペンを置いた。


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