これこそ医学の社会的地位なのだ。
シンギョクが今回薬神谷へ向かう目的は二つある。
第一に、自分自身の修行の速度を上げるための強力なバックグラウンドとリソースを探すこと。
第二に、薬剤師として使う適切な器具を探すことだ。
その日、シンギョクは姚青を連れて車に乗り、薬神閣へと急いで進んだ。
薬神閣は、桃市の隣にある清河町に位置している。
それがただの農村でしかなくとも、薬神閣があるために、毎年彼らの町を訪れた人々の数は絶えず入れ替わっている。
それが結果として清河町の経済に大いに寄与し、町には年間を通してかなりの収入がもたらされている。
シンギョクと姚青は飛行機に乗ってすぐに清河町近くの空港に到着した。
その後、二人はタクシーを拾って清河町に向かう予定だった。
清河町に向かう人が多いのかもしれないと思いつつ、シンギョクと姚青が車に乗ったときにはすでに車内に他の乗客がいてちょっと驚いた。
「運転手さん、車内に他の人がいるじゃないですか?」と姚青が訊ねると、
運転手は姚青を一瞥し、「清河町に行くなら、もちろん乗り合いだよ。そうじゃないと、お前はいつまで待たされるか分からないからな」と答えた。
シンギョクは自嘲的な笑みを浮かべながら、「この薬神閣の魅力はなんとも凄いな」と感じた。
「シン先生、ちょっと待つべきですか?」と姚青が尋ねると、
シンギョクは手を振って、「乗れるだけでいいから」と答えた。
そうして、二人は車に押し込まれて座った。
シンギョク以外の乗客は、20歳前後の少女だけだった。
少女の髪は二つに分けられ、縞模様の髪飾りがついており、赤い長いスカートを着ていた。眉間には小さな桃の花のタトゥーがあり、まるで古代から来たかのように見えた。
少女はあまり話さず、シンギョクと姚青が車に乗るとすぐに顔を外に向けてしまった。
姚青は少女を何度か見ながら、「美女、君も薬神閣へ行くんだね?」と笑顔で言った。
だが、少女は何も言わず、頭も向けようともしなかった。
姚青がそんな反応を見せても、恥ずかしさなんて全然感じていない。それどころか、余計にノリノリだ。
彼は自慢げに言う。「この人が誰か知ってる?薬神閣の長老だよ!立場は絶大だぞ!」