深夜三時。
京城師範大学、寒風が吹き抜ける。
学校内にはほぼ人影が無く、セキュリティガード一人が懐中電灯を持って周囲を巡回しながら、美女のライブ配信を楽しむ、やる気満々の姿だけが見受けられる。
突然、猛烈な風が吹き起こり、ガードの背後を一つの黒影が飛び越え去った。その速度は非常に速く。
肉眼で見ることすらできない。
ガードは身体をよろけさせ、手持ちの懐中電灯を地に落としてしまった。彼は懐中電灯を拾い上げ、「なんだこのばかな風は!もう夜勤はきつすぎるよ。」と軽く呟いた。
懐中電灯をしっかり握ったところで、再び急速に黒影が現れた!
「ゴチン!」
今度はガードの携帯電話と懐中電灯が全て地に落ち、彼自身も倒れ込んだ。
その瞬間、ガードは少し慌てて手元の懐中電灯を拾い上げ、周囲を照らし始めたが、影は一つも見当たらない。
冷たい風が吹き付ける中、彼の背中の汗が立ってきた。
京城師範大学の地下には墓地があるとの伝説があり、まさかこれが幽霊の仕業では?
ガードは身体を震わせながら、セキュリティルームへと急ぎ足で向かった。
それと同時に、教員寮で、後に現れた影は足を止めた。
その男性こそ、今日、江の老爷子と対話していた中年男性である。
江鎮業!
彼もまた、江家の第一線で活躍する強者であり、其の実力は非常に優れている。彼の名前が華夏宗師ランキングにはないものの、実力通りに戦えば、華夏宗師ランキング10位以降の強者を斬ることも可能である。
彼は当初、人を送った方が手っ取り早いと考えていたが、よく考えると、自分自身が行くべきだと改めて思った。
この江家の落ちぶれた子どもに彼は強く興味を抱いていた。
徽安省の数多くの強者たちに圧倒されながらも、領域外の物体を自由に扱う力は、決して侮れない。
でも、あの少年は5年前にジャンチャンで明らかに無力だった。なぜ5年後にこんなに大きな変化が現れたのか?
これが彼の心の中で最も大きな疑問だ。
その瞬間、彼は好奇心から急速に動いている黒影を見つめる。彼の瞳を細め、つぶやく、「それだけではない、江家がこの少年を処理しようとしているだけでなく、他の勢力もこの少年を生きてはいられない状態にしようとしているらしい」。