思索している最中、叶晨は全く気付かなかった。自分から強烈な煞气が噴出していることに。
彼の煞气は大広間全体を冷やし、更に重々しい殺気を三人に包み込んだ。
彼らの心は驚愕の波に揺さぶられた。なぜ叶宗师の身にこんな恐ろしい煞气が!
絶対に逆らってはいけない存在だ!
「叶先生、あなた……」老朱はもう我慢できず、ひどくしわがれた声で叶晨を思考から引き戻した。
初めてその場にいる数人に気がついた叶晨は、顔色を激変させ、急いで身体から出ている煞气を抑えて、謝罪した。「老朱、大丈夫だったのですか。さっきはいろいろ考えていて……」
老朱は手を振って、新鮮な空気を数回吸い込んだ後にようやく言った。「叶先生、時間もそろそろすぎてしまいます。私たちはこれで失礼します。数日後のオークションに、人を遣わせて叶先生をお誘いします。失礼します。」
彼は、この場所に長く留まることをもはや恐ろしいと感じていた。目の前の若者がいつ攻撃を開始するか、誰にも分からなかった。
叶晨はうなずき、三人が去るのを見送った。
その後、目の前にある薬草を見つめて、何から手をつけていいか困った。
丹薬の錬成は錬丹炉がないとなかなか手間がかかる。今は、これらの薬草を水中で吸収させるしかない。
その効果は丹薬に比べて大幅に落ちるが、何もないよりはましだ。
……
夜になり、叶晨のお腹が少し空いたので、汤臣一品を辞めて大都アパートに戻った。
そこでは彼が住むのは無理で、こんなに大きな家を一人で住むなんて、何と寂しいことだ。
アパートの戸を開けると、叶晨はスンイがまだ帰ってこない事を確認した。
彼は家の固定電話で何度もスンイに電話をかけ、何か問題があるのか尋ねようとしたが、誰も出なかった。
「一体何をしているんだ、何も言わずに。家族に何か問題でも起きたのか?もし明日にも連絡が無ければ、町に行って彼女を捜すつもりだ。」
昔一緒に机を共有していた時、叶晨は実際にスンイの家を訪れたことがあった。最初にスンイが学校の門で不良たちにからまれた時、叶晨はボロボロの二文字に怒っているかどうかわからなかったが、ともかくレンガを手に取り一気に駆け寄った。