美月の体が緊張で固まる。
彼女の瞳はその光に引き寄せられ、まばたきも忘れているようだ。
「うん…」美月は喉から掠れた声を絞り出す。
「何だろう…すごく不安になる。でも、何かを感じる…」
美月は慎重に足を進め、震える手を前に伸ばす。
光が徐々に強まり、まるで夜空に浮かぶ星のように輝いている。
「これは…」美月は一瞬振り返り、真剣な眼差しを向ける。
「何だか、私の中の力と共鳴してる気がする…」
美月は一歩一歩、光に向かって進む。彼女の念力が反応し、周囲の空気がピリピリと震える。恐怖と興奮が美月の心を揺さぶる。
「気をつけて…!」美月の声は震えながらも力強い。
彼女の心には不安と興奮が入り混じり、額に冷や汗が浮かんでいた。
僕は美月の後ろから一歩前に出て、彼女を守るように立ちはだかった。
「美月、その光に近づきすぎないで。君の力を試そうとしている何者かがいるのかもしれない。」
光の中から、微かな声が響いた。それは低く囁くようでありながら、不思議と耳に直接届くような感覚だった。
「桜咲美月…君の力を見せてみろ。」
その声に美月の顔がこわばる。
「やっぱり、私を狙っている…!」
「大丈夫だ、美月。一緒に乗り越えよう。」僕は彼女の手を握り、冷静な声で言った。
「光の正体を暴こう。君の力と僕の判断で、必ず解決できる。」
彼女は力強く頷き、一瞬の迷いを振り払うように前を見据えた。
「行こう。私たちならきっと大丈夫。」
二人で光へ向かう足取りが、体育館の中に響いた。
光が揺らめき、その中心に何かの影が現れ始めた。
桜咲美月の瞳が決意に燃え上がる。彼女の手は震えていたが、握り返した力は強かった。美月の念力が高まり、周囲の空気がさらにざわつく。
「うん、行こう…!」美月の声は震えながらも、力強さを失っていなかった。
彼女は一歩、光へと踏み出した。
光の中心に現れた影は、次第に形を成していった。
それは人間の姿をしていながら、どこか異様な雰囲気を纏っていた。
その目は赤く光り、まるで美月の心を見透かすかのようだった。
「桜咲美月…」影が低い声で囁いた。
「君の力、見せてみろ。」
美月はその言葉に一瞬怯んだが、すぐに気を取り直した。
「誰だ、お前…!何が目的なんだ…!」
影は微笑を浮かべ、まるで答えを与えるつもりはないかのようにただ立っていた。
美月の超能力が反応し、彼女の全身に緊張が走る。
「このままじゃ…!」
美月は焦りつつも、必死に状況を把握しようとした。
「落ち着いて、美月。」 僕は彼女の肩に手を置き、視線を影へと向けた。
「挑発に乗らないで。こいつは、君を揺さぶろうとしているだけだ。」
影の赤い目が僕たちをじっと見据え、低く笑った。
「桜咲美月。お前の力は、このまま隠せるものではない。」
僕は美月に小声で囁いた。
「おそらく、あいつは君の能力を試している。もし危険だと感じたら、すぐに下がれ。僕が時間を稼ぐ。」
美月は震えながらも頷き、拳を握りしめた。
「ありがとう。でも、私も逃げない。これ以上、誰かを巻き込みたくない。」
彼女の瞳が再び光を宿し、周囲の空気が緊張に包まれる。
影も動き始めた。
その手が上がり、何かを召喚しようとしているかのようだった。
「美月、準備はいいか?一気に動くぞ!」僕は声を上げ、影の次の動きを見極めるために集中した。