午後2時。クラインは北区郊外にある、長い間手入れをしていないような、素朴で古風な2階建の家の前にいた。
捜査官代理の制服を着た彼は、雑草が生い茂る庭と植物が絡まる壁を見ながら、少し驚き、首を傾げて言った。
「僕の格闘術の先生はここにお住まいなんですか?」
夜を統べる者チームから選ばれるような格闘家は、絶対に素晴らしい方に違いないが……
クラインをここへ連れて来たレオナルド・ミッチェルは、含み笑いをしながら言った。
「住まいを理由にガウェインさんを軽んじてはいけません。彼は結局、爵位さえもらえませんでしたが、かつては本当の騎士でした。」
こう話すと、この白シャツと黒いスラックスを自由に着こなし、ボタンのない革靴を履いた、詩人気質の夜を統べる者は、急に感傷に浸って言った。
「彼が活躍したのは騎士の栄光時代の末期で、当時は胸甲を着た勇士が火縄銃や大砲の隊列に向けてがむしゃらに突撃し、敵を倒して戦火を終息させていましたが、残念なことに、やがて高圧蒸気ライフルと6連装機関銃が発明され、それを配備する時代を迎えたため、それ以降、騎士たちはだんだんと表舞台から去るようになりました。」
「ガウェインさんもそのうちの1人で、20年以上前、彼が所属していたアフワ騎士団はインディス共和国の最先端武器を保有する軍隊に遭遇し……ああ、このことを考える度に、私はいつも歴史の断片に触れたような気持ちになり、その抗いようのない波乱と宿命に揺さぶられ、心の中に詩が芽生え、沸き立つのですが、私はこれを詩という形に書き上げることができないのです。」
……じゃあこんなに多くのことを語って、一体何のつもりだ?クラインはレオナルドの自嘲の言葉が聞こえていないふりをして、真面目かつ真剣に提案した。
「僕の大学の同級生の話では、詩を書くことには才能が必要で、『ルーン初期古典詩集』を読むことから始めるとよいとのことです。」
そう言うとレオナルドはすぐに気を取り直し、明るい口調でこう続けた。
「その詩集ならずいぶん前に買いました。このほか『ロッセール詩選集』などの本も持っているので、私は真夜中の詩人になれるよう努力してみますよ、占い師さん。」