クラインを見ながら、レオナルドは緑の瞳に笑みを浮かべて頷いた。
「では、提供してもらう必要のあるものはありますか?」
レオナルドはニールなどと何度も手を組んだことがあり、特に「主役」がそこにいない場合、占いに媒介物が必要だということを自然に理解していた。
クラインは少し考え、ケリー執事の方を向いて言った。
「最近エリオットさんが着用し、まだクリーニングをしていない衣類が必要なのですが。もしもエリオットさんが以前身につけていた装飾品があれば、なおありがたいです。」
クラインは、一般の人が妄想にふけってしまうようなものではなく、できるだけ普通の媒介物を選んだ。
それでも年老いたケリー執事は、訝しげな表情をして
「なぜですか?」
と聞いた。そしてそのあと、言葉を付け加えた。
「エリオット坊ちゃんの写真を持っています。」
なぜですか?って、俺たちは占いでエリオットの行方を捜すからだよ……クラインはすぐには何と答えたらよいか分からなかった。
秘密保持契約違反になるかどうかは別として、ありのままに話せば、ケリー執事はおそらく背を向けて帰り、契約書を破り捨て、「この詐欺師め!こんなものが役に立つなら、アフワ郡で一番有名な霊能者を訪ねたほうがよっぽどマシだ!」と心の中で罵ることだろう。
隣にいたレオナルド・ミッチェルが軽く笑って言った。
「ケリーさん、私のパートナー、いや、同僚は珍しいペットを飼っていますが、そのペットの嗅覚は猟犬より鋭いのです。だから我々はエリオットちゃんを探すのに、エリオットちゃんが着用した衣類と身につけたことがある物が必要になるのです。ご存知のとおり、手がかりはある一定の範囲に限られる傾向にあります。」
「その写真については、同様に必要なものとなります。私たちは、エリオットちゃんの特徴を知る必要がありますから。」
ケリー執事はこの説明に納得し、ゆっくりと頷いて言った。
「ではこちらでお待ちになられますか、それとも私と一緒に市内にあるウィックロール邸までお越しになりますか。」
「一緒に参ります。時間の節約になりますから。」クラインは簡潔に答えた。