薬神閣の閣主が連れ去られたというニュースがあっという間に広がった。
「薬神閣の閣主が負けたなんて、これは残念だ。」
「私の情報によると、当日は半歩武侯が8人も薬神閣を包囲していたらしいぞ!」
「閣主は一人で八人を相手にした。しかも一度も手を汚さずに。そうでなければ、勝者と敗者ははっきりしないだろうね。」
「そうだけど、なんでも閣主は何かの毒に冒されてて、その力の半分も出せてなかったみたいだよ。」
「まさか、薬神閣のこんなに広いつながりの中で、困ってる時には誰も来ないなんて思わなかったよ。」
人々は薬神閣を惜しみつつも議論を重ねていた。
しかし彼らは皆心の中で感じていた。力が強ければ強いほど、その地位も高い。
地位が高ければ高いほど、利益に重きが置かれ、既に彼らの中には何か情感のようなものは無い。
聖儒門。
閣主はどれだけの時間が経ったのか、ようやくゆっくりと意識を取り戻した。
彼女は聖儒門の地下牢に閉じ込められ、周りは真っ暗だった。
しかしその閣主の顔には、驚くほど平静な表情が浮かんでおり、どこにも動揺の色は見えなかった。
ちょうどその時、外から声が聞こえた。
目をやると、曲長老がそっと入ってくるのが見えた。
「おお、目を覚ましたか?」意識を取り戻した閣主を見て、曲長老は冷たい笑みを浮かべた。
「ふふ、君は自分がすごいと思ってたでしょ? なんで今は囚人の身になってるんだ?」曲長老は前に進み、嘲り続けた。
閣主は曲長老を一瞥した後、淡々と言った。「あなた一人で入ってきたのは、死にたいのですか?」
曲長老は驚き、言葉を失った。その次の瞬間、彼の体は横に吹き飛ばされた!
「バン!」
曲長老の体は背後の壁に激しく叩きつけられ、割れた。
血が彼の口角からこぼれ始めた。
曲長老には閣主がいつ、どのように攻撃したのかさっぱりわからなかった。
「私が囚人になっても、あなたのような無能な者が指一本触れることはない。」閣主は淡々と言った。
曲長老は口角からこぼれる血を拭い、憤慨に満ちた声で言った。「何が偉そうだ!私が命じれば、お前はこの牢から出ることなく死ぬことになるのだぞ!」