この青年は……大名高く、あの中原贺腾なのか?
自分がいつも潜在能力ランキングで負け続けているあの人か?
「秦兄、何ですか?」方悦は少し意地悪げに尋ねた。
一方、贺腾は主導してシンギョクに近づき、握手しながら言った。「秦兄、はじめまして、お名前はよく聞いてますよ」
「こちらこそ。」と、シンギョクは淡々と返した。
彼はじっと贺腾の姿を観察した。
この男はなかなか穏和そうで、見た目には傲慢さを感じさせない。
見るからに、心地良い春風のようだ。
彼の強大な神識でさえ、彼のオーラは隠されてしまっていて、本当の力を察知することはできない。
「秦兄は武道フォーラムで話題の人物ですよね。ずっとお会いしたかったのですが、なかなか機会がありませんでした。」と、贺腾が続けた。
シンギョクは贺腾と注意深く接触したくない。
もし明心島に宝が現れたら、二人の間には確実に競争が生じる。
「贺兄弟、お気遣いありがとうございます。」と、シンギョクは静かに言った。
贺腾はちょっと頭を下げて、「秦兄、では、邪魔をしてしまったのなら申し訳ありません。また船上でお会いしましょう。」と言った。
その言葉に会えると、贺腾は船の方へ歩いて行った。
方悦はシンギョクにちょっといたずらっぽく目配せをした。
贺腾の後姿を見て、シンギョクは何も変わったところを見つけられなかった。
「この男、本当の力がどれほどなのか、どうしてあんなにも名声を得ているのか……」と、シンギョクは眉をひそめた。
潜在能力ランキングを見るまでは、シンギョクはこの人のことを一度も聞いたことがなかった。
「顔の老爺子、あなたは贺家のことを知っていますか?」シンギョクは尋ねた。
「知らねえよ。」と顔の老爺子は首を振った。
顔の老爺子が知らないということは、それだけで十分証明している。つまり、贺家が中原のトップクラスの世家であるとは言えない。
そうでなければ、顔の老爺子が知らない理由はない。
シンギョクが思案していると、遠くから李子南が急ぎ足でやってきた。
「シンギョク、なんで君はどこにでもいるんだ?」李子南は5人連れてシンギョクの前に立った。