古太初の表情も何やら不自然で、むしろ一風変わって見える。
「シン先生、どうかあなた自身で行ってください。私はもう行きません。」と姚青がぶつぶつ言った。
シンギョクは古太初を見て笑い、 「古先生、彼を許してやってください。」と言った。
「君の顔を立てて、彼の命だけは助けてあげるよ。」と古太初が小さくため息をついた。
姚青はすぐに反応し、まるで毛を立てた猫のように、驚愕の眼差しで古太初を見た。
「あなた...あなたが古太初ですか?」と姚青が唾を飲み込んだ。
古太初は無視して手を振り、「出発しよう。」と言った。
車は江北地区へと急速に進んだ。
江北地区は非常に広大であり、その中でも楚州は最小の県である。
そして、滨省と楚州の間には別の州があるため、この旅は非常に遅々と進んだ。
シンギョクと姚青は交代で運転し、明け方から暮れまでずっと運転し、やっと次の日の早朝に滨省に到着した。
「ここが滨省か。」と滨省の境に入ると、シンギョクは深く息を吸った。
彼は神識を開放し、滨省の大半を感じた。
「言わずもがな、滨省の霊気は楚州をはるかに超えている。」とシンギョクが低い声で言った。
古太初は微笑みながらうなずき、「ここが薬神閣の近くだから、霊気は自然と濃くなる。」と言った。
「薬神閣?」とシンギョクの瞳が縮まった。
彼はこの場所を知っていた。その社会的地位は非常に高く、医学の技術も一世を風靡していると言われていた。
多くの重要人物が薬神閣に行き、病を診てもらっていた。
そして、薬神閣の閣主はまるで神龍のように姿を見せず、会うのは非常に難しい。
「機会があれば、是非とも薬神閣に行ってみたいと思う。」とシンギョクは心の中で思った。
車は進み続け、すぐに古太初の住宅に到着した。
古太初の住処は非常に上品で、全体の造りは中国様式だった。
そして、大門を押し開けて中に入ると、目の前には細い小道が広がっている。
小道の両側には竹林が広がっており、武侠映画のような風情が漂っている。
「あそこが私の住まいだ。」と古太初が近くの一軒屋を指さした。