ウィデはベッドから身体を起こしてみると、軽く身体を動かしてみた。背中から痛みは全く感じられなかった。騎士様が言っていた通りだ、傷を放っておけば、それが早く治るだろう。
「感じはどうだ?」とカークシムが尋ねた。「もうしばらく休んだほうがいいだろう」
「大丈夫だから、昨日もちゃんと働けたじゃないか」ウィデはボロボロのコートを着て、足を冷たいロングブーツに滑り込ませた。「それに、早く彼らのために働けば、早くオートミールが分けてもらえるからさ。いつも君の割り当てを食べていてはいけないし、一杯のオートミールでは二人で分けるには足りないさ」
「そのオートミール、私はなかなかいいと思うよ。他のところで出される粥よりもずっと濃いし、少し肉の味もするからね」老人は頭を振った。「子供たちよ、お前は元巡回隊員だから、貧民窟の暮らしをきちんと知らないかもしれない。そこで出される粥はクリアなスープみたいなもので、小麦の粒が数粒混ざっている程度なんだ。それがちょっとでも食事らしく見えるように、よく草の根や木の葉を入れて煮ているよ。領主様が出してくれるオートミールを二人で分けると、お腹はいっぱいにならないかもしれない。でも、お腹が空くことはないよ」
「僕たち二人とも、お腹いっぱいになるまで食べたいんだ」靴紐をしっかり結んだ彼は笑いながら言った。
「わかったよ、」カークシムは息を吐き出した。「でも、無理はしないでくれ。体に気をつけて」
おかしい感じだった。彼はただのブラックストリートのラットたちが選んだ身代わりだっただけなのに、何故かまるで親しい人が話しているかのように感じていた。それどころか、その感じが一向に悪くないとさえ彼は思っていた。
「大丈夫、」と彼は微笑み、頭を振りながらフードを被った。「君だって気をつけてね」
ドアを開けてもいないのに、すでにそこには二人の男が立っている。彼らのパーシャルブルーのランクマークと肩章が白地の制服に刺繍されており、来訪者たちの身分を明かしていた。- 彼らは市政府の職員だった。
ウィデの眉間に皺が寄った。「何の用だ?」
その一人が紙を取り出して一瞥し、「君がウィデだね?」
「はい。」
「何かあったのか?」カークシムも部屋の外の様子に気付いた。