「もしかして、会場には超能力者がいる?」
精神性の超能力者であれば、他人の記憶を消去することができる。
雷树伟は跳ね起き、ヨンチンの前に直行し、彼の胸元のボタンを指で掴んだ。
そして引き抜いた。
「私は一体何か間違ったことでも…」
雷树伟はヨンチンを無視し、「今日着ている服は、昨日私が指定した物だな?」と尋ねた。
ヨンチンは頷いた。「そうです!」
「良し!」
雷树伟は直接ボタンを外し、小さなチップが現れた。
そして、彼は注意深くそのチップを一つのデバイスに入れ、それをコンピューターに接続した。
ヨンチンは驚き、全く思いがけなかった。このボタンは実は精巧なカメラだったのだ!
ヨンチンだけでなく、強くて有名なLuo Yuntianもまた驚いた。
雷树伟は話しながらビデオを開始し、武道台での光景が鮮明に映し出された。
二人は最初何も反応しなかったが、叶辰一が足を地につけると、全体の武道台が壊れた瞬間、二人は呆然とした。
「ひっ」二人は息を飲み、全身が震えた。
これが人間なのか?
こんなことができるのは、多分宗のリストに上位50名以内に登録されている者だけだろう。
でも、叶辰はまだ20歳台だ。
それら50名の存在は、どれも名前が知られている強者だ。
二人は、叶辰が袁景福を斬るところまでがすべてだと思っていた。しかし、彼が剣道の虚像を集中させ、遠く離れた場所で人を殺すところを見たとき、息を止めた。
二人は目を見開き、まるで彫像のようだった。
雷树伟の背中は汗ばんでいた。
なぜなら、彼が全力を尽くしても、叶辰の剣には勝てないからだ。
これを妖怪と形容するだけでは足りない、叶辰の行為はまさに天逆ほどのものだろう!
雷树伟は急いでデバイスを取り出し、コンピューター上のあらゆるデータを全て消去した後、コンピューターに掌を打ちつけた。
コンピューターは粉々になった。
雷树伟はヨンチンを見つめ、「ヨンチン、僕についてきて何年になる。この件の深刻さ、理解してるよな。これは、誰にも立ち去ることが許されません、誰にも!」と厳重に告げた。
「分かっています!」ヨンチンの声は微かに震えていた。
……
珠江ヴィラ区。