非常に人里離れた小山の上。
ここは人跡稀で、周囲は濃密な森林に覆われている。
この場所では、携帯電話の信号さえ入らない、まさに鳥も糞も落とさないような場所だ。
ある山の洞窟の中、刺青をした大男たちが、1人の美女を見張っていた。
「ボス、この娘、いい感じだぜ」と筋肉質の男がにっこりと言った。
もう1人の大男も唾を飲み込んだ。これまでにこんなに美しい女性を見たことがなかったからだ。
「ボス、先に楽しんじゃおうか?」と1人の筋肉質の男が訊ねた。
他の男は眉をひそめて手を振り、「やめておけ、雇い主が言った通り、彼女には絶対に手を出してはいけないんだ」と言った。
椅子に縛り付けられているのは、ゲンジャクセツだ。
その時、彼女の顔には驚くほど落ち着きがあり、大男たちを少しイラっとさせた。
「私を誘拐した結果が分かってるの?」ゲンジャクセツは2人を見つめ、淡々と言った。
「ハハ、どういう結果があるっていうの?金を手に入れたら、とっととここを離れるだけさ!」と1人がにっこりと言った。
ゲンジャクセツの顔には淡い笑顔が浮かんだ。
「ボス、ここで2日間待つの?」と1人が眉をひそめて言った。
「2日待てば2千万を手に入れることができる。こんないいことがあるのか?贅沢は言うな」ともう1人が手を振った。
時は1分1秒と流れ、シンギョクは必死になってここへ向かってきていた。
道中の車はバックして止まらず、シンギョクの慌ただしさが減ることはなかった。
もしゲンジャクセツに何か起こったら、シンギョクは恐らく一生苦しむだろう。
ついに、半時間後、車は山麓に停まった。
シンギョクは頭を上げて小山を見つめ、思わず拳を握った。
同時に、周囲を覆う強烈な殺気が誰もが震え上がるほどの恐怖を感じさせた。
洞窟の中。
二人の大男はゲンジャクセツを見つめ続けていた。
ゲンジャクセツのクリーミーなような肌を見て、2人はもう胃液が出るほどだった。
「こんな美女が目の前にいるのに手が出せないなんて、もったいなさすぎだ!」と1人が言った。
もう1人の大男は目だけが動き回り、何を考えているのか分からなかった。