シンギョクは最初、薬神閣からただちに離れようと考えていました。そうすれば薬神閣に迷惑をかけることを避けられると。
しかし、五長老はシンギョクの考えを否定し、首を振って言いました。「まずは閣主の帰りを待つべきだろう」
「お前が今走ってしまったら、それこそ薬神閣に迷惑をかけることになる。」
シンギョクは考えた後、うなずいて言った。「わかりました、お約束します。」
男性として、責任を負うべきであり、軽々しく逃げ出すのはシンギョクのスタイルではない。
その後、シンギョクと桃子の2人は診療室から一緒に出て行った。
自宅に戻る途中、桃子は深く言った。「閣主が戻ってきたら、私も証人になるよ。他の人たちもきっと君のために証人になってくれると信じている。」
シンギョクは微笑んで、「そんなに心配しなくていいよ、しっかりと錬丹に集中してね」と言った。
桃子はうなずいて、そのまま戻って行った。
薬神閣の薬草の備蓄は非常に豊富で、たとえ薬師が手取り足取り教えるための薬草であっても、その薬効は数十年もの間保持されている。
百年以上となると、薬神閣ではなんとも思われていないようだ。
「薬神閣へ一度来たのだから、何も持たずに帰るわけにはいかない」と、シンギョクは部屋の中でひっそりと考えた。
薬神閣の規定によれば、陳隘は手取り足取り教えるための薬草を所得する権利がある。
そのことを思い出したシンギョクは、すぐに立ち上がり、備蓄室へ向かった。
薬神閣の備蓄室は非常に広大で、近づいたとたんにシンギョクは濃厚な薬の香りを感じた。
また、この備蓄室の入り口では、2人の薬師が、登録や薬草の受け取りを担当していた。
シンギョクは近づいて自己紹介をし、意図を明らかにした。
2人の薬師はお互いに一度目をあわせ、その後、一枚の申し込み書を取り出し、シンギョクの前に置いた。
「秦薬師、まずは登録からお願いします。」と二人は丁寧に言った。
シンギョクは用紙を受け取り、じっくりと見ました。
この紙には名前を記入する部分のほかに、薬草を受け取る数量が記載されています。
シンギョクはその部分を指して問いました。「一人がもらえるのは何本ですか?」