さまざまな色が浮かび上がり、オーラが目に映った。クラインは、デビル騎士の状態をさりげなく調べた。
「体は健康だし、隠れている問題もほとんどない……とても不機嫌で、暗闇のむこうに弱々しさが浮かび出ている……精神的に参っているのか、それとも睡眠不足なのか?ただ不思議なのは、頭の紫のオーラには何の問題もないってことだ……」クラインが心の中でつぶやいていると、デビル騎士とその一行はどんどん遠ざかっていき、図書館から出て行ってしまった。
視線を戻したクラインは額に手をやり、そっとため息をついた。
「金持ちも楽じゃないよな……」
この件にはそれ以上注意を払わず、また目の前の雑誌に目を落とした。
記事を全部読み終えたが、クラインは特に有益な手がかりを見つけることはできず、ただいくつかのことが確認できただけだった。
まず、ホルナシス山脈の主峰とその周辺地域には、確かに古代王国が存在していたこと。次に、この古代王国の歴史は少なくとも1,500年前まで遡ることができる。また、彼らの建築物は壮大なものが中心で、さまざまな壁画が残されている。これらの壁画から、彼らは死後、黒夜の中で一族が守られると信じていたことがわかる。最後に、こうした遺跡のいたるところに黒夜を象徴するシンボルが見られるが、それは明らかに暗黒の徽章とは異なる。
「もし行くような羽目になったとしたら、いや、そんな羽目になったとしても、だ、ここには行かないぞ!」クラインはきっぱりと呟いた。災いは遠ざけるに限る。
クラインは雑誌をまとめて元の場所に戻し、シルクハットをかぶり、ステッキを手にすると、デビル図書館を後にした。
…………
占い倶楽部。
ボグダは受付の美しい女性を見て言った。
「占いをしてもらいたいんですが。」
アンジェリカは礼儀正しく微笑むと答えた。
「ご指名の占い師はいらっしゃいますか?それとも、こちらの案内をご覧になって、ご自分に最適の占い師をお選びになりますか?」
ボグダは腹部の右側を押さえ、静かに息を吸い込み、こう言った。
「クライン・モレッティさんに占ってもらいたいんです。」
「あいにくモレッティさんは本日不在です。」とアンジェリカは確認もせずに答えた。