叶晨は自然と夏若雪の体調が悪いことを知らなかったが、彼はベランダで一本のタバコを吸っていたところ、スンイが急きたっている声が聞こえた。
「シャワー浴び終わったわよ。誰が次?」
スンイはパジャマを着ており、髪はやや濡れている。
スンイはリビングを一周した後、夏若雪が部屋にいることに気づき、外からシャワーを浴びるかどうか尋ねた。夏若雪は声がかすれて「少し具合が悪いので、後で浴びます」と答えた。スンイは諦めるしかなかったが、叶晨に向かって笑いながら言った。「小辰子よ、君はラッキー。今日は2番目にシャワーを浴びることになるから、早く行きなさい。それと、若雪のためにお湯を残しておくことを忘れないでね。」
叶晨は頷き、部屋から着替えを取り出して、バスルームへ向かった。
そのとき、スンイは電話を受けた。
彼女が驚いたことに、電話の掛け主は「夫妻焼き」の店長、张姨だった。
覚えていてくれたなら、前回叶晨さんと一緒に食事をしたとき、次回予約するために電話番号を残した。それなら、次回は早めに料理を準備してくれる。
でも、こんな時間に张姨が電話をかけてくるとは、一体何だろう?
「もしもし?张姨さん、何か?」
……
一分後。
「バン!」
叶晨がシャワールームでシャツを脱いでいると、ドアがスンイに強く開かれた!
「スンイ、これはセクハラだよ……」叶晨は冗談半分で言った。
「セクハラじゃなくて、大問題が起きたの!早く!早く服を着て外に出て来て!」スンイは慌てている。
叶晨はスンイが既に服を着替えて、明らかに外に出ようとしていることに気づいた。
「何があったんだ?そんなに慌てて。」
叶晨がシャツを着ながら問う。
「質問は後。車に乗ってから話すわ!」
すぐにスンイはタクシーを止め、運転手に向かって言った。「お願いです。コウホク大学に向かってください。出来れば早く!
「了解です。」運転手はすぐにアクセルを踏み込み、車は飛ぶように走り出した。
叶晨はスンイを一瞥し、眉をひそめて言った。「今さら話せるんじゃないの?」
スンイの顔色は暗く、「ワン・ユーエンを覚えているでしょう?」と静かに言った。