「107号ってどういう場所なのか?」ハンセンは血の水を一口吐き、表情を変えずに尋ねた。
「現地に到着すれば自然にわかるだろう。」ネイユエはハンセンと話すのをやめ、ただハンセンを連れて出発した。
ネイユエはもともとハンセンのような人間から何かを聞き出すことができるとは思っていなかったし、ハンセンが自分が思っている通りの人間であるか否かに関わらず、すでにこの段階に至っているなら、彼女はハンセンにチャンスを与えることはないだろう。
ハンセンはネイユエの口から出た107号について非常に興味津々だったが、ネイユエたちはそのことについて全く話さず、ただ必死に走るだけだった。彼らが急いでいる様子が伺えた。
ハンセンはそれも理解できた。彼らは既に進化者に昇進し、第一保護所内に長く滞在することができない。そうでなければ、体が持ちこたえられなくなるだろう。
そのような状況下で、ネイユエが彼を107号に連れて行こうとしていることから、ハンセンの107号に対する好奇心はますます強まった。
しかし、ハンセンの疑問は長くは続かず、ネイユエたちは神血レベルのマウントに乗り、白魔大砂漠を直接通り抜け、草一本生えていない岩石山谷に到着した。
山谷の全体がほとんど白い山壁に覆われており、ただ山の体の裂け目だけが人間一人が通れるような山谷の中心へと続いていた。数人がハンセンを山壁に押し付けながら山谷に入っていき、山谷の中に入ろうとすると、ハンセンはようやく山谷の中の全てをはっきりと見ることができた。
広大な山谷の中には他の生物が一切見えず、白い岩石と白い砂が至る所に広がっていた。そして、山谷の中央には、奇妙な血赤色の巨花が一輪だけ生えていた。その巨花はローズのように層になっており、空に向かって大きく開いていた。
そしてその花の周りには、多くの鋭いとげを持つつると葉があり、つるは山谷のあちこちに広がり、ほぼ全体の山谷がつるで包まれている。それはまるで血赤色の巨大な花を中心とした花室のようだった。
ハンセンは視線を四方に巡らせたが、あの血赤の巨大な花と花のつる以外には何も見つけることができず、異生物の存在は確認できなかった。
「まさか、これが107号なのか?」ハンセンは驚きつつ尋ねた。