紀嬿然はあの緑のクリスタルを見た直後、話す声もかなり小さくなった。
「ここに母巣晶核があるなんて、どうやってこの道を通り抜けることができるの?」紀嬿然はリーミンタンに問いかけた。
「だからこそ、みんなで協力しあう必要があるんだ。」リーミンタンは答えた。
ハンセンは、その緑色の晶核が何に使われるのか分からなかったので、何も言わず、ただ横で聞いていた。そしてしばらく聞いていると、なぜリーミンタンと王公が進めなかったのかがようやくわかった。
それらの、まるでクリスタルのシャンデリアのような緑色のクリスタルは「母巣晶核」と呼ばれ、中にはたくさんの小晶核が生育されている。母巣晶核は空気の流れに非常に敏感で、周囲で空気が流れると、中の小晶核が吹き出される、まるで雹が降ってきたかのようだ。
しかし、それらの小晶核は雹よりも何百倍も恐ろしく、体全体に棘が生えており、体に触れると、その棘が皮膚に突き刺さって血を吸い始める。
リーミンタンのスーパーダイヤモンドボディでさえ、これらの小晶核の吸血を防ぐことはできない。この場所を通過するのは決して容易なことではない。
飛行獣の魂を使って上から飛ぶと、必ず母巣クリスタルを驚かせることになる。唯一の方法は、水晶橋の上をゆっくりと歩いていくことで、空気の流れの大きさを減らし、巣窟を驚かせないようにすることだ。
面倒なことに、たとえ水晶橋の上を歩いても、人間が動くと空気は必ず流れ、母巣晶核を触れる可能性がある。
もし母巣晶核を触れてしまったなら、その時は三人で協力して、小晶核に血を吸われないようにしなくてはいけない。
リーミンタンがその時に小晶核をどのように対処すればよいかをハンセンと紀嬿然に教えて、三人は距離を置きながらゆっくりと水晶橋へと進んでいった。
誰もが速く進むことを恐れ、ゆっくりと動いて少しずつ前進し、上にいる母巣晶核を驚かせないように気をつけていた。
リーミンタンは元々、晶核を触らずに通り過ぎることはほぼ不可能だと思っていたが、三人がゆっくりと水晶橋を歩いていくと、上の母巣晶核は驚かされなかった。
"おかしい?" リーミンタンも眉をひそめ、なぜ母巣晶核が驚かされないのか分からなかった。