僕はすぐに駆け寄り、美月の肩を支えた。
「よくやった、美月。君のおかげで、影を消し去ることができたよ。」
彼女は肩で息をしながらも、微笑みを浮かべていた。
「あなたがいなかったら、私はきっと…ありがとう。」
体育館の空気は静寂を取り戻していたが、何かがまだ残っているような気配を感じた。
僕は周囲を見渡し、低い声で言った。
「でも、これで終わりじゃないかもしれない。あの影…一体何だったんだ?」
美月はゆっくりと立ち上がり、真剣な表情で頷いた。
「私たちで確かめなきゃ。玲奈ちゃんや、他のみんなを守るためにも。」
その瞳には、次に進む覚悟と新たな決意が宿っていた。
僕たちは視線を交わし、体育館を後にしながら新たな謎に挑む準備を始めた。
桜咲美月は、僕の言葉に応えるように深く息を吸い込んだ。彼女の頬には汗が光り、疲労の色が濃い。それでも瞳には揺るぎない決意が宿っている。
「うん、私たちで解決するんだ。」
美月の声は震えていたが、その中には確固たる意志があった。
彼女は体育館の床に散らばる破片を見下ろし、手を伸ばした。指先が触れると、念力で軽々と持ち上げることができた。
「この感じ…まだ何かが残ってる気がする。」
美月は周囲を探るように視線を巡らせた。
すると、体育館の隅にある扉が微かに開いていることに気づく。
「あそこ、さっきは閉まっていたよね?」
僕は頷き、二人は慎重に近づいた。
扉を開けると、狭い倉庫の中に薄暗い光が漏れていた。
美月は無意識に左手首の計歩器を握りしめ、心臓の鼓動を感じながら中へ足を踏み入れた。
「何があるのか、分からないけど…」美月は小さな声で呟いた。
僕は腕を伸ばし、彼女の肩に触れた。
「大丈夫だよ。僕たちで何とかするさ。」
美月は倉庫の奥に微かに動く影を見つけ、念力を集中させて淡い光を放った。
その光が闇を切り裂き、小さな球体が姿を現した。
「これが…影の核?」
美月は息を呑みながら呟いた。その球体は黒く光り、微かに脈動している。
「慎重に行こう、美月。何かがまだ動いている。」
僕は彼女に声をかけ、球体の周囲を警戒した。
球体が突然震え始め、何か新たな力を解放しようとしているようだった。
「これを止めなきゃ!」
美月は再び念力を集中させ、行動に移ろうと決意した。
桜咲 美月は球体を見つめ、その黒い光に引き込まれそうになった。彼女の手が震え、額には緊張の汗が浮かんだ。
「待って...」と声をかけ、念力を球体に集中させると、その震えが激しくなった。
球体の周りに黒い霧が渦巻き始めた。
美月は一瞬ためらったが、すぐに決意を固めた。
「力を全て使うわ!」彼女の瞳が光り、念力の波が球体を包み込んだ。
「美月、気をつけて!」と叫ぶあなたに、彼女は微笑んで応えた。
「大丈夫、これで終わらせる!」
球体が一瞬光を失い、黒い霧が消え始めた。
しかし、次の瞬間、球体が爆発的に膨張し、美月を飲み込もうとした。