「分かりました。」ダンの申し出を聞き入れたレオナルドが、吹っ切れたような表情で答えた。
それから、レオナルドとクラインらは倉庫を出て、怪物ビーボが「自爆」した場所の近くまで来ると、そこを中心に円を描くように捜索を始めた。
「隊長、一体何を探してるんですか?」クラインは、散乱する腐った血肉を見て、吐き気を覚えそうになるのを必死で我慢した。そして、隣にいるダン・スミスを疑わしく見た。
ダンは顔を上げず、深い光を宿した目で地面を見渡しながら答えた。
「予定より早く目覚め、暴走して怪物になったことは、ルエル・ビーボがノートにある超越的な力を吸収しきれなかったということを意味する。それは同時に、奴の体の一部に人智を超えた力が集まり、質の高い素材となったということでもある。」
「もし今後、同じような場面に出くわしたら、決して取りこぼすんじゃないぞ。とんでもない『ブツ』かもしれん。」
そういうことか…クラインは納得したように軽くうなずいた。
クラインの頭にすぐに別の考えがよぎる。
怪物ビーボの超越的な力を秘めた一部が、口に出せないような場所だったらどうするんだろう…薬の調合に使うのはとても気持ち悪いんだけど…
クラインが余計なことを考えていると、鷲のように鋭い目をしたボルジアが突然声をあげた。
「ふふ…見つけました。」
ダンとエルらがすぐに振り返り、身を乗り出した。好奇心に駆られたクラインもボルジアの方へと足早に歩いていく。
すぐに、クラインの目にボルジアの目の前のものが見えた。それは、拳大のくすんだ色の物体で、表面には溝が走り、全体的に柔らかそうだ。まるで、生きたまま取り出された脳のようだ。
クラインにはその「くすんだ色の物体」のどこが特別なのか、すぐには分からなかった。しかし、激しい爆発の中で何ら傷ついていないという事実だけでも、「探していたもの」をボルジアが見つけたと確信するには十分だった。
ダンはそれをじっと観察すると、しゃがみこんで右腕を屈伸させながら、黒い手袋をはめた左手でくすんだ色の塊をおそるおそるつかんだ。
ダンが手を触れた瞬間、「くすんだ色の物体」が開いたかと思うと、粘り気を帯びた液体に変わった。