レオナルドの吟唱はまるで催眠音楽の如く、左右の部屋の間や曲がりくねった木製の階段に、あっという間に響き渡った。
クラインの意識は急にぼんやりとし、まるで静まりかえった月光を見ているようであり、穏やかに揺れる湖面を見ているようであった。
そして急にまぶたが重くなり、立ったままでも眠れそうだった。
意識が朦朧とする中、クラインはまた背後から、形なく、奇妙で、冷淡な視線を感じた。まるで自分が霊界をさまよっているかのようだ。
以前にも嗅いだことがあったような、何とも言えない香りが漂い、クラインは急に自分の思考に戻った。自身の強い霊感と、お馴染みの瞑想によって、「真夜中の詩」の影響からかろうじて逃れることができた。
しかしクラインは、相変わらず心も身体も穏やかで、ほかの感情を生み出すのは難しかった。
やがてレオナルドは吟唱を止め、横を向いて笑って言った。
「私はフェナーポート琴の購入を申請しようと思います。伴奏がない吟唱なんて、あり得ないと思いませんか?」
「ははっ、冗談ですよ。彼らは全員寝てしまいましたし。」
この黒髪に緑の瞳をした詩人風の夜を統べる者チームのメンバーは、足を踏み出し、誘拐犯と人質がいる部屋の入口の前まで歩いた。
そして突然肩を揺り動かすと、握りこぶしを突き出してドアの鍵にぶち当てた。
カシャン!
鍵の周りの木の板が、かすかな音を立てて砕け散った。
「ここは慎重にやらないと。」レオナルドは顔を後ろに向けて笑いながら、ドアに空いた穴に手を突っ込んで、鍵を開けた。
意識を取り戻していたクラインは、レオナルドほどの自信はなかったが、手を脇下に入れて銃を抜き出し、すぐにでも発砲できるようにシリンダーを調整した。
ドアを手前に開けると、室内には机の上にうつ伏せになり、ピストルを足元に落として寝ている男が、そしてぼんやりとして目を擦りながら、立ち上がろうとしている男がいた。
ガン!
レオナルドは大股で滑り込むようにして、この目を覚まそうとしている誘拐犯に近づき、殴り倒した。
クラインは後を追って入ろうとしたが、急に何かに反応したかのように、階段の方へくるりと向きを変えた。