朱雅は知らない、これ一連の出来事は全て叶晨が故意に仕組んだもので、彼は本来は華夏薬盟の錬丹に関与するつもりはなかった。
しかし華夏武道局から挑戦状が突き付けられた以上、彼は喜んで引き受けることにした!
彼は事態を大げさにすることを何よりも求めていた、それこそ項承東が彼に注目するために!
そうすれば相手から幽霊の監獄の秘密を引き出すことができる!
……
広場の真ん中に設置された丹炉の中では、趙大師が温度を完璧にコントロールしていた!
丹炉全体が真っ赤に熱せられていた!
炉の周囲十メートル以内の温度は非常に高かった!
趙大師は口元をにっこりと笑わせ、時間を見た。すでに20秒が過ぎていた!
躊躇うことなく、三品の丹薬の材料をすべて丹炉の中に放り込んだ!
丹炉は揺れ動き、極めて強いエネルギーを放出した!
彼がこの度炼制するのは、玄黄丹!
これは致烈丹薬で、成功すれば、服用した者の修為が一層向上する!
もちろん、药材に玄黄石が含まれているため、丹炉内の反応は通常の丹薬よりも激しく、炉の爆発する確率も高まる!
しかし彼は何度も試行錯誤を重ね、たとえ爆発してもそれは5分後のことだと自信を持っていた!
48秒で炉が爆発するなど、全くありえない!
趙大師の手は絶えず炉を操り、その反応はどんどん激しくなっていく!
数秒後、丹炉全体が赤い光で閃き、濃厚な薬の香りが広場全体を包み込んだ!
「はは、もう四十秒も経ったよ、この趙大師の丹制御の力は本当に強力だ、きっとすぐに丹が完成するだろう。」
「華夏の一流武道家族の錬丹師を除けば、趙大師はまさに天才だと言える。」
「あの若者が薬王谷で三日三夜を過ごす様子を見るのが楽しみだ、はは!おそらくあの若者は歴史に名前が刻まれるだろう。しかも項承東を怒らせるとは、自業自得とはこのことだ!」
「これは薬盟にとってもよい事だ、あの若者は聞くところによると江南省の一番強者で、強大な武道力を持っている。彼が薬王谷で三日三夜過ごすことになれば、少なくとも江南省の全ての強者が華夏薬盟の恐ろしさを知ることになるだろう。」
項承東はステージに立ち、趙大師の勢いに満足そうに見つめていた。