ステージ上。
夏若雪は目の前の錦の箱を一目見ると、心臓がバクバクと鼓動を始めた。
中身が何なのかは分からないが、叶晨がそう言うのなら、それが極めて貴重なものであることは間違いない。
「それでは、開けてみますか?」夏若雪が叶晨に尋ねた。
「うん」
観客たちは待ちきれなさそうで、夏若雪以上に錦の箱の中に何があるのか知りたがっていた!
中に何があるのか見逃すことのないよう、首をすくめあげている人もいた。
夏母さんや夏若雪の祖母も興味津々でこちらを見ていた。
錦の箱が開いた。
中には青いクリスタルのネックレスが入っていた。クリスタルは独特な形状で、光と影が絶えず魅力を放つ。灯りの下でキラキラ輝いて、人々の心をくすぐっていた。
遠くから見ると、まるで遥かなる星辰のようだ。
これは叶晨が以前、オークションでこっそり落札したもので、誕生日のプレゼントとして夏若雪に贈るためのものだった。
現在の夏若雪は、身体が震え、目には涙が浮かんでいる。
ドキドキと、あの「星辰」の上に落ちていく。
星辰の涙。
夏の母さんの目もすでに濡れていた。
彼女はもちろん、この星辰の涙を知っている。これは彼女の父親の最後の作品で、唯一彼の娘に贈るためのものだ。
彼女は立ち上がり、体を震わせながら歩み寄る老人を見つめている。
老人はゆっくりとこちらに歩み寄ってきて、濁った瞳に微かな輝きがあった。
「本当に、おじいさんの星辰の涙なのか……」
老人の言葉が絞り出された。
夏若雪は、再びこの星辰の涙に再会することができるとは思ってもみなかった。
オークションの後、彼女はオークションの主催者に連絡を取る全ての手段を試みたが、彼らは彼女に星辰の力がいったい誰に落札されたのかを教えてくれなかった。
これは彼女の一生最大の悔いとなった。
なぜなら、これは彼女の外祖父ディン・ユアンチャンの生前の最後の作品だからだ。
彼女のためだけにデザインしたものだ。
色彩、デザイン、材質すべて彼が選んだものだ。
生涯の最後の瞬間に完成させようと、彼女は外祖父が病床でやせ細った手で一点一点磨いていく姿を覚えている。その真剣な表情を。