シンギョクの声には、言葉に出来ないほどの冷たさがあった。まるで腊月の寒風が吹き抜けていったようだ。
しかし彼の言葉で、人々が恐怖に陥ることはなく、逆に大笑いを始めた。
「本当に傲慢だ!まさか、我々を脅しているのか?」
「容赦なく殺すだって?お前が我々が何者で、我々の一人が死ぬと何が起きるかを知っているのか?」
「まさに傲慢の極みだ!顔の老爺子を殺した挙げ句、ゲン家に乗り込んできて大騒ぎするとは、生死も知らずに!」
その言葉で人々の怒りが爆発し、彼ら全員がシンギョクを敵視するようになった。
シンギョクはそれでも気にせず、彼はそもそもこの層の人間ではない。どうして彼を認めてくれるだろうか?
これまでにいろいろな経験をしたシンギョクは、既にこの事を理解していた。
正しいか間違っているかなど全く重要ではなく、重要なのは利益の分配。
シンギョクは身を翻して、座れる場所を探した。
その時、彼は薬神閣の閣主がどこかに座っていることに気付いた。
シンギョクは一瞬驚いたあと、すぐに近寄って行った。
「閣主様、何故ここにいらっしゃるのですか?」とシンギョクは驚きを隠しきれずに問いかけた。
閣主は淡々と、「お前は我が薬神閣の長老である。だから我が来た」と述べた。
その言葉は平坦に聞こえるが、その背後に含まれる意味は決して平凡ではない。
閣主の意図は明らかで、シンギョクの窮地を救うつもりだった。
それによりシンギョクの心は大いに興奮した。
「閣主様、私...」
「感謝の言葉は不要だ」と閣主はシンギョクの言葉を遮った。
シンギョクは力強く頷き、何度も感謝を口にしてきたが、閣主を自分自身の親族のように見なしていた。
ここに座って、シンギョクははっきりと感じる。暗闇から無数の殺意が自身に向けられている。
「今日、私を殺そうとしている者は多いな。」シンギョクはお茶を一口飲みつつ、冷たく語った。
閣主が言った。「細心が肝心だ。向かう相手はやはり京都の名家二つだからな。」
シンギョクはうなずき、「分かりました、閣主様。」と答えた。
時間が過ぎるのはあっという間で、シンギョクが到着してから、場の雰囲気が何となく異様になった。