18番刑務所に戻ると、路广义が近づいてきて尋ねた。「ボス、庆言は何か言ってましたか?」
「何も」庆尘は首を振った。「予定通り進めよう」
いわゆるケイシ家族の他勢力からの圧力や、影の闘争は、今の庆尘にとってはどうでもいいことだった。
今日も彼は庆言の攻撃的な言葉に反論しなかった。強くなってこそ、反応する態度に価値があるからだ。
呼吸法がもたらした驚きは、超凡者への扉を開くだけではなかった。
昨夜は歩けないほど疲れていたのに、今朝目覚めると元気いっぱいで、体も自由に動き、疲労感は全くなかった。
この感覚は不思議すぎた。表世界では感じたことも、見たことも、聞いたこともないものだった。
路广义は小声で尋ねた。「李叔同と本当に仲違いしたんですか?」
庆尘は彼を見つめて言った。「ああ、仲違いした。でも、もともと外部の力を借りる予定はなかっただろう?」
「その通りです」路广义は答えた。「ボス、私がいますから」
……
夜、カウントダウン5:59:59。
18番街7区。
江雪は街灯が灯り始めた街をゆっくりと歩いていた。表世界の人間である彼女にとって、ここは巨大な迷路のようだった。
空を見上げると、スモッグや青空、白い雲ではなく、雲を突き抜けるような高さの鋼鉄の森と、目がくらむほど色とりどりの全息虹が広がっていた。
焼き肉店のホログラム看板が空中で回転し、通行人は遠くから巨大な合成肉の串を見ることができ、店からはクミンの香りが漂ってきた。
空中で突如メカニカル・ドルフィンが現れ、まるで海底から浮上したかのようだった。
ビルの間を優雅に泳ぐと、尾びれを振って青いホログラムの波しぶきを上げた。
その波しぶきが地上に向かって落ちてくると、初めて見る人は思わず頭を守ろうとするだろう。
しかし、その波しぶきは10メートル以上落下すると、華やかな花火となって消えていった。
そしてその時、空に幻想的で眩い広告の文字が現れた。「ユズスマートフォン、最高の全息通信体験を」
ビルとビルの間には、数え切れないほどの廊橋が架かっていた。
地上から見上げると、それらの廊橋はまるでロープのように、全てのビルを束ねているように見えた。