バーサスは慌てて展望タワーに駆け上がり、大勢の難民が呂承のキャンプに流れ込むのを見て、目の前が真っ暗になり、激怒した。
「この難民たちは私の町を見捨てるつもりか?呂承は一体どうやって彼らを従わせたんだ?!」
その時、バーサスはようやく気付いた。この特殊な難民たちは利益しか眼中にない禿鷹のような連中で、以前は些細な利益で操れたのは、より大きな利益が現れていなかっただけだった。難民を掌握できると思っていたのは、単なる錯覚に過ぎなかったのだ!
「もうダメだ、ダメだ……」バーサスは焦って行ったり来たりした。この難民たちは呂承に対抗するための切り札だったのに、今や呂承も難民を手に入れ、彼の優位性は消えてしまった。
しかし、ふと考えを改めた。呂承は難民の特殊性を知らないはずだ!
そのとき、助手が慌てて駆け寄り、黒い幽霊が呂承を助けているという情報を報告した。
この知らせは晴天の霹靂のようで、バーサスは呆然とした。黒い幽霊と戦って、どれほど悲惨な死に方をするか想像するのも恐ろしかった。黒い幽霊の銃の下で命を落とした超能者たちが、自分の運命を暗示しているようだった。
黒い幽霊のような伝説級の存在が、なぜ突然呂承を助けるのだろうか?
「きっと黒い幽霊が呂承の難民吸収を手伝ったんだ。なぜ彼は難民の間でこれほどの影響力を持っているんだ?」バーサスは黒い幽霊が通りすがりだと言ったことを思い出した。
嘘つき!
バーサスは撤退を考え始めた。武装した人員を連れて撤退すれば、呂承は追撃してこない可能性が高い。相手が欲しいのは町だけで、流血なしで済むのが最善だろう。しかし、領地をこのまま明け渡すのは弱腰すぎる。家族側に厳しい制裁を受けることは間違いない。
「戦いも始まっていないのに逃げることを考えているのか。オーフォメラの家訓を忘れたのか?」瀟瑞が展望台に来て、バーサスの横に立ち、眉をひそめて言った。
「でも、あれは黒い幽霊だぞ。それに半分の難民が我々を裏切った……」
「オーフォメラは戦わずして怯むことはない。部下たちに戦闘準備をさせろ。」瀟瑞は正義感あふれる態度で言い放った。
「しかし、黒い幽霊が……」
「私のボディーガード、刘乘が彼を足止めする。戦闘に参加させない。」