釘の心はぐっと引き締まった。
その瞬間、時がゆっくり過ぎ去るかのようで、彼は心の中で命中を祈りながら、巨大な悪獣をただじっと見つめ、息を止めたままでいた。しかし、相手は無傷のままで、前方へと進み続けていた。
数息後、モンスターから遠く離れた場所で雪柱が立ち昇った。
これはまずい。
釘の心は一瞬で重く沈み、巨獣が第6区画の城壁を目指していなかったため、砲と獣の間に角度ができてしまった。長砲は角度を絶えず調整しなければならず、同時に相手の移動速度も予測して先行射撃をしなければならない。そうでなければ、今のように、一度発砲しても砲弾はターゲットの後方に打つことになる。
野戦砲の射撃速度で計算すると、モンスターが城壁を突破する前に、彼らには最後の一撃しか残されていない!
釘はすでに敵の体に厚い毛皮や獰猛な牙下の大口が見えていた。魔女たちはこちらに疾走してくる、明らかにこのモンスターを止めようとしている。しかし、彼女たち4人の力は相手の足の太さにも及ばず、魔法の力だけでそれを成し遂げることができるだろうか?
彼の心は急ぐ思いで焼け付き、第6区画の城壁に駆けていって、砲隊に前方を狙うよう警告したいとさえ感じた。だが、城壁の両端に立っている監督戦闘チームのメンバーが彼のこの衝動を押さえつけた。自分の防御位置を勝手に離れるなんて、戦闘から逃げるとみなされかねない。テツオノトカワは何度も強調しており、防衛ラインが乱れるような行動は絶対に禁止だと。もし発見されれば、監督戦闘チームは直接ガンファイヤで撃つことができる。
最初に走り出した悪獣はすでにリボルバーライフルの射撃範囲に入り、城上には連続したガンファイヤの音が鳴り響いた。
釘は自分の任務を続けるしかなかった、つまり、装填装置を一つ一つ慎重に圧縮し、射手の隣に置くことだ。
その時,再び大地を震わせるような轟音が2回目に響き渡った。これは長砲が前回発砲してから数息しか経っていなかった。