赤水河の側に設けられた仮設の造船所の周りは人々であふれていた。
誰もが知っている、この木造りの小屋の中で、奇妙な船が製作されていることを。その船の外殻は巨大な風呂桶のようで、灰色のセメントで作られている。そして、その物質が一度固まると、石と何ら変わりがない。水に投げ入れると「プチョン」と音を立てるだけで、影ひとつ見せてくれない。
ここで働く職人たちは、その船にぴったりの名前をつけた:風呂桶船。
今日こそ、最初の2隻の試作船が進水する日だ。
見物席に集まった群衆は大きく二つに分けられる。一つは、辺境の町に新しく住み始めた人々で、彼らはこのニュースを好奇心深く、または信じられないと思い、疑う心情で新鮮なものを見に来たのだ。その中には東や南境から来た漁師や水夫も少なくない。もう一つは地元の人々で、彼らはすでに殿下の創出する様々な奇跡に慣れており、以前の「小町号」についても耳にしている。小雪が降る中、集まってきたのはただひとつ、彼らが崇拝する王子殿下を見つめるためだ。
カークシムはその前者だった。
殿下が広場の掲示板にこのメッセージと新たな募集を掲示したとき、彼は何が何でもここに来て見ると言ったのだ。ウィデは仕方なく、カーター氏に休みを頼んで、彼とともにここにやってきた。この辺りには馴染みがなく、また積雪も深い。彼は一人で人々が集まる場所へ行かせるのが心配だった。もし押し合いで転んでしまったら、老人にとっては大きなダメージになる可能性がある。
「あんたは私を見くびってる、ボウズ」と老人は手を振り、彼に自分の近くにいる必要はないと伝える。「俺も厳しい状況を経験してきたんだ。年を取ったけど、体はお前らと大差ない」
「まあ、そうですね」とウィデは皮肉を込めて言った。「とにかく、もう僕は休みを取ったんですから、あなたが何を言おうと遅いんですよ。ただ、私が理解できないのは、なぜあなたが絶対にこの船の進水式を見たいのかということ。ただの船じゃないですか?」
「でもあんたが言うには、それは灰色の石で作られてるんだろう」とカークシムは首を横に振った。「この時代に風呂桶ほどの大きな石が水面に浮かべるなんてことがあるのか?」